考察のポイントは2つある
そう考えると、考察のポイントは、
1 どんな人がどんな理由でベンツをレンタルしにくるのか?
2 その人は将来、ベンツを購入する客になる可能性は高まるのか? それとも低くなるのか?
の2点だということがわかります。
当然、マーケット全体ではいろいろなケースがありえます。私の場合、レンタルの理由はかねて最新のベンツに乗ってみたかったことでした。そうではなくデートのためにベンツを借りる人もいると思います。ミニマリストなので車を持たず、借りる時には一番いい商品を使う主義の人もベンツをレンタルするでしょう。周囲もみんなベンツなので恥をかかないようにベンツに乗る人もいるはずです。ベンツに乗る理由はさまざまでしょう。
ちなみに見栄をはるためにベンツのレンタカーを借りた人がどうなるのか、なんとなく私も体験できました。実はこの日、家内に内緒でベンツを借りて、驚かせようと待ち合わせ場所に颯爽と登場してみたのですが、家内の第一声は、
「“わ”ナンバーだよね」
でした。ちょっとがっかりです。
「安さと気軽さ」がレンタルを後押しした
さて、私の場合は、今回レンタカーで借りたことでベンツが欲しくなりました。しかも借りる前は「別に自家用車はベンツじゃなくてもいい」と思っていました。私にとってはベンツのレンタカーは補完財として機能したようです。その理由を分析してみました。
まずレンタカーの価格が安かったことが重要です。半日借りて1万2200円で済むと知ったから、ベンツに乗ってみようと思い立ったのです。これはそもそもレンタカー事業で収益を上げられる価格設定ではありません。ベンツ側も私をこの価格で誘っているわけです。
つぎに重要なことは気軽さです。実は私が新しい車を買う際に一番いやなことは、ディーラーに出かけることです。時間がかかるのもそうですが、それなりに買うか買わないかのプレッシャーがかかってしまう。近所にもベンツのショールームがありますが、これまでなるべく近づかないようにしていました。
品川プリンスホテルにあるベンツのレンタカーの店舗は非常に敷居が低いのが特徴です。スタッフは制服のポロシャツのユニフォームを着た若いスタッフで、お店にいるお客さんもグッズを見に来たようなお客さんばかり。六本木のお店も私は行ったことがありますが、ベンツの経営するレストランでした。どちらのお店もベンツを売っていないのが特徴です。
つまりこれまでなるべくベンツのショールームに行かないようにしていた潜在顧客が、価格の安さと敷居の低さで、ベンツを借りに来た。これが私の場合の事情でした。