感謝による高いモチベーションと自制心

これは「近視眼的」であるか長期的な視野を持って物事を捉えることができるか、という点から説明ができます。端的に言えば、ジャイアニズムで成功できると考えている人は「近視眼的」、つまり、目の前の利益を取ることしか考えておらず、目の前の利益をとることで将来どのようになるのか? という長い目での成功を見据えることができていないのです。

特殊な場合を除いて、人が社会で成功をしたいと思った場合、たった一人きりで成功を手にすることはできません。必ず人間関係が存在します。そして成功までには、自分だけでなく、多くの同じ目標に向かった仲間、周囲の人間の労力が必要になります。この労力が、何で担保されるか? という問題に対し、研究から一つあきらかになっていることがあります。

それは「感謝・恩」の気持ちです。人は、自分のために何か力を注いでくれた、と感じたときに感謝を感じます。そして、この感謝の念を持っている場合、人は、通常の約30%程度、自分の労力を割き、大変な作業を行うことができることが示されています。さらに、感謝の念を持って行動をしていると、目の前の誘惑に打ち勝つための自制心が強く働き、よりやり抜く力を持って作業できることも明らかにされています。

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与えられるだけの人の成功は「一時的」で終わる

つまり、与えるという行為をした場合には、与えられた人が「感謝の念」を持ち、将来、通常以上の労力を払ってくれる可能性があるということです。ここでポイントなのは、与えるという行為を意識的、あるいは無意識的に、長期的なGive&Takeの視点を持って行っているというところでしょう。そのため、与える側の人にとって、与えられることばかりに注力している人は、与えたところでメリットがない相手であり、結果与える対象ではなくなる、という判断がされます。いわゆるしっぺ返しです。その結果、長期的にGiveとTakeが循環するという現象が起きなくなるため、与えられる人の成功は、一時的、あるいは、ある程度までということになります。

一方、与える人は感謝を生み、円滑でモチベーションが高く、すぐには誘惑に負けない自制心を保った仲間とともに、継続的な成功に近づくことができるのでしょう。