●武蔵高等学校中学校校長 杉山剛士さん

A1:「自ら調べ自ら考える力」、さらに「独創性と柔軟性」。

これからの社会は一言で言うと先行き不透明で正解のない時代。しかもグローバルなつながりの時代です。そうした時代を生きていくためには、まず「自ら調べ自ら考える力」が必要。武蔵では創立以来、この「自ら調べ自ら考える(自調自考)力」を大事にしてきました。さらに、その基盤の上に、前例にとらわれない「独創性」と自分とは異なる多様な他者を受け入れ協働していく「柔軟性」が必要。武蔵生の強みはまさにこの「独創的で柔軟な力」にあります。

A2:3つの「こう○心」(好奇心、向上心、公共心)を伸ばすこと。そして何よりも家庭を子供にとってホッとする場所にすること。

自調自考の精神や独創性・柔軟性は学校や地域の場で培われるので、家庭ではその力の基盤となる力を育ててください。まず「好奇心」。さまざまなことを知りたいと思うことが学びの基本。自然の中で遊んだり、図書館や博物館などを訪れたりすることも有効です。次に「向上心」。伸びようとする気持ちです。ただし人との比較はNG。「昨日の自分を超えていく」という思いが大切です。最後に「公共心」。人の痛みを知る、人の立場になって考える。いたるところに公共心を磨くチャンスはあるので、そのつど教えてやってください。

そして、最後に何といっても家庭は、夕食のときに子供がその日にあったことを自由にしゃべり、親がそれを黙って聞いていてやれるような「ホッ」とする場所であってほしいと思います。子育てには正解やノウハウがあるわけではありません。子供の幸せを願うのが親心で、それがあればどんな方法でも大丈夫。子育てを楽しみながら、ゆったりと構えてください。

【学校が注目している卒業生】

馬渕俊介 ビル&メリンダ・ゲイツ財団 シニアアドバイザー

[推薦の理由]JICA、マッキンゼー、世界銀行というユニークなキャリアを経て、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のシニアアドバイザーとして途上国支援のために活躍されています。「短い人生の太さと興奮度合いを決めるのは、抱く夢の大きさとその実現に向けた信念、行動力」だと語り、現在は地球規模でパンデミックに対応するための国際機関「独立パネル」に身を置き、新型コロナウイルス感染症の対策検証などを手がけながら、「地球上から理不尽な死をなくす」という大きな夢に向かって尽力されています。

[在学中の様子]勉学にも練習にも人一倍励む模範的な野球部員、純粋で仲間思い、思考力と洞察力に優れた努力家として印象深い生徒でした。「行ってみたい場所を調べて、想像上の旅行記を書きなさい」という地理の課題では、南米のアマゾンを旅する冒険心にかき立てられていました。

●桜蔭中学校・高等学校校長 齊藤由紀子さん

A1:正解のない問題に判断を下すためのバランス感覚と忍耐力。

たとえ予測できない状況に置かれても、私たちは何らかの判断を下し、行動を起こさなくてはなりません。正解がない事態でも、できうる限りの最適解を導くためにはさまざまな条件を総合的に判断するバランス感覚が必要になると思います。そしてその決断が不完全であることに耐え、よりよい解決法を探してゆく忍耐力も必要です。単純に白黒をつけないで「不十分な決断」に耐えながら、より適切な答えを求めることがこれからの社会では必要になると思います。

A2:生活力を身につけること。友人とともに学んだり遊んだりする経験を積むこと。読書をすること。
『プレデントFamily2021年春号』

日々の生活において年齢相応の生活力を身につける過程で、手先の器用さ、段取り力、コミュニケーション力が磨かれてゆくはずです。また、友人との交流や学習は他者への想像力を育て、視野を広げてくれます。バランスのとれた判断力も育てられるでしょう。そして読書を通して、日常を俯ふ瞰かん的に捉える力を身につけることができます。現実と理念は不可分なのではないでしょうか?

【学校が注目している卒業生】

菊川 怜 タレント

[推薦の理由]毅然と行動しているところ。

[在学中の様子]活発ではつらつとした生徒でした。