「IOK高速サイクル」の魔法

徹夜明けの翌日、ついに完成した台本をディレクターに頼み込んで見てもらうと、「番組にできるような代物しろものじゃない」と一蹴されました。しかし、アウトプットを続ける姿勢が評価されて、どこがどう悪いのか丁寧にレクチャーしてもらえました。そのインプットを参考に、企画書や台本の作成に改善を重ねていきました。当時はまだ珍しかったIBMのパソコンを購入し、デザイン性の優れた企画書を作るなど、人がやっていない工夫も加えていきました。

そして、初めて台本を書いた日から3カ月後、ついに企画が通ったのです! そのときの高揚感は忘れることができません。

今思い出すと、当時の私はお手本のように、「IOK(インプット×アウトプット×改善)高速サイクル」を回す働き方をしていました。放送作家になるというひとつの目標だけにフォーカスし、まずは行動を始めました。そして、台本を書き始めるというアウトプットを始め、課題や問題が起こるたびにインプットによって改善していき、ついに成果を上げて放送作家の仲間入りをすることができたのです。

その後、それまでのキャリアを生かして経営者となった私は、高速仕事術があらゆる仕事にも汎用はんよう性があることに気づき、まず、自分の会社の社員教育や実際のコンサルティング現場でも使えるよう改善を重ねていきました。今では、経営でも、投資でも、ユーチューブでも、日々の作家の仕事でも、常に「IOK高速サイクル」を回すことを心がけています。

写真=iStock.com/Tommaso Barbanti
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「カラーバス効果」を利用する

何か新しいことを始めるとき、明確な目的があると、人はそれに向かってフォーカスしていくことができます。

カラーバスという心理効果をご存じでしょうか? ふだんはまったく気にならないのに、例えば朝のニュース番組でラッキーカラーが赤色だと言われたら、途端にポストや落ち葉など赤いものが目についてくる心理効果のことです。街中の赤いものに無意識に目が行ってしまいます。

私は当時、手帳に「放送作家になる!」「ベストセラー作家になる」と書き記し、毎日のように目に入れていました。その結果、カラーバス効果が発揮されて、普通の人は気にも留めないゴミ箱の中から、参考となる台本を見つけることができたのです。

このようにあらかじめ目的を設定しておくと、自然とそのための情報を見つけることができます。だから、まず、何をするにも明確な目的を意識することが大切なのです。