断言「会社員になるメリットはほとんどない」
押し寄せるグローバリズムに、交錯するコロナウイルスパニック、働き方改革の導入など、日本人の働く環境は急スピードで変化を求められている。
しかしいまだに「正社員は安心」という常識は、根強い。特に就職氷河期以降、若者の間では正社員希望が増加しているようだ。
だが、会社員になるメリットはほとんどない、と断言する。
昔は終身雇用・年功序列の堅硬な構造が、サラリーマンを選択する最大の利点だった。しかしリーマン・ショック以降、終身雇用も年功序列も崩れ落ちた。
有名な大手企業に勤めているとしても、安定した給料や待遇が得られる保証はない。いつ仕事を失い、路頭に放り出されるかわからないという意味では、正社員も派遣社員もフリーターも同列なのだ。
リスクの少ない環境で、人は成長できるか
一方で、会社組織の利点としては、仲間との結束感がある。同じ会社に勤める上司や部下、同僚は、仕事の成果を分かち合える最も身近な、味方でありえるはずだ。喜びを共有できたり褒めてくれる人が職場にいると、それなりのモチベーションを保つことができるのではないか。会社のブランドを使って、よりスケールの大きいプロジェクトを進める利用法も考えられる。
人間関係ではストレスは溜まるだろう。けれど同じ会社に勤めているというだけで、結局は身内だから、最低限のフォローをしてくれる。個人的なミスも、最終的には会社が責任を取ってくれる。業務トラブルにおいて、リスクを軽減できるという意味では、組織は役立っている面があるかもしれない。
だが、リスクが免じられている環境で、人は成長できるだろうか?
助けたくもない仲間まで助けることが、正しいのだろうか?