「日本は男社会」と聞くたびに驚く男子

【斎藤】僕には夜職をしている女友達が6人ぐらいいます。その子たちと話していると、一般の女性と本人たちとでは夜職のイメージがかなり違うなって感じますね。僕の友達には、夜職を天職だと思って自信を持って楽しく働いている子も多い。だから一概に「夜職で稼がなきゃいけない事情があるなんてかわいそう」「男性から軽く見られてかわいそう」って目で見るのはどうかなと。夜職をジェンダーの論点で語るのはちょっと違う気がします。

【原田】コロナで日本全体が経済的に厳しくなっているので夜職をやりたくないのにせざるを得ない人が増えている可能性はあります。実際、首都圏の9つの私立大学で、2020年4月に入学した新入生を対象にした仕送り額についての調査の結果が過去最低となったようです。ひと月の仕送り額の平均は8万2400円で、仕送り額から家賃を除いた一日当たりの生活費が607円となったそうですが、東京で一日607円で生活するのは本当に大変です。

一方、天職だと思って楽しくすごしている人もきっといっぱいいるでしょう。だから確かに夜職の人全てをジェンダー論で語るのに違和感を感じる人もいるんでしょうね。

ただ、働かざるをえない人相手であろうが、働きたくて働いている人相手であろうが、もし人をモノとして扱うような態度をとるお客がいるなら、それは絶対に良くないね。これは対夜職に限った話ではなく、全てのサービス業の人たちに対して言えることでしょう。対男性相手の場合も同じ。これはジェンダー論以前の問題だから、ジェンダー論として取り上げるのには違和感がある、と思う人もいるのかもしれませんね。

【森】僕は男女を区別して考えたことがあまりないので、メディアで「日本は男社会」「男性が優遇されている」といった声が上がるたびにびっくりします。そんなの感じたことないのになって。男女の区別って、それこそ恋愛面とかトイレが別とか、服にレディースとメンズがあるとか、そんなところでしか意識したことがないですね。

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男性の無自覚は大いに問題

【末石】その無自覚なところに怖さを感じます。怖さって言うよりむかつきかな(笑)。女性差別や男女不平等は確かにあって、それは社会人になったらきっとわかると思うんですよ。森くんの言う通り、私たちの世代は男だから女だからっていう考え方はしないけど、上の世代ではまだまだ根強い。だから私たちの中でも、社会人になってから毒される人が出てくるかもしれないですね。

【原田】確かにZ世代の若者同士の間では、上の世代と比べると、男女の垣根が相当少なくなってきているように感じます。「隠れメイク男子」も増えているし、レディースの服を男性が着るのも普通になってきている。専業主婦になりたいという女性も一定量いるけど、減ってきてはいる。なので、あなたたちが社会で主役になる10年後、20年後はきっと今よりジェンダーに関するさまざまな問題が少ない社会になっていると想像しています。けれども、確かに今は問題がたくさんあって、それに無自覚な大学生男性がいるのは、まだ社会に出ていないから、という点も大きいかもしれませんね。