「何かのジョーク?」海外にも拡散したアベノマスク
さて、そんな「マスク大国」のはずの日本ですが、コロナウイルスの第1波が花粉症の時期と重なったこともあり、国内は深刻なマスク不足に。ドラッグストアの開店前にマスクを求める人々の行列ができるというような悲喜劇的な光景が出現しました。
そのような状況を解消するため、安倍政権(当時)が打ち出したのが「全世帯にガーゼ製のマスクを二枚ずつ配布する」という緊急対応策でした。
これには安倍政権の経済政策の通称である「アベノミクス」をもじって「アベノマスク」なる俗称がすぐに生まれました。その政策に対する意見は様々ですが、結局、「アベノマスク」という言葉は海外にも拡散。「日本人は不思議すぎる」「何かのジョークだろう」といった報道が相次ぎました。発表が4月1日だったことから「エイプリルフールのジョークに違いない」とも言われました。
しかし、「国民へのマスク支給」という政策は、その後、イタリアやフランスといった多くの国々が追随することになりました。
また、日本では「マスクが小さい」との声があがりましたが、ベルギーでは某自治体の配布したマスクが「大きすぎる」と問題に。顔全体を覆うほどの大きさのマスクに「パンツみたい」「パラシュート?」といった苦情が続出しました。これに対して自治体側は「熱いお湯でマスクが縮むまで洗うように」とコメント。さらなる炎上を招いたのは言うまでもありません。
深刻なマスク不足に陥った東京。とある店でマスクが販売されると聞いた主婦が、バスに乗って買いに行くことにした。
やがて、店の近くの停留所に着いたので、主婦はバスから降りようとした。すると運転手がこう声をかけてきた。
「マスクを買いに行くつもりですか?」
「ええ。そうですが」
「それなら三つ先の停留所まで行ったほうがいいですよ」
主婦は怪訝な表情を浮かべて聞いた。
「どうしてですか?」
運転手が答えた。
「そこまで行列が延びていますから」