日本人は海外からどう見られているのか。『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)を出したノンフィクション作家の早坂隆さんは「新型コロナの感染拡大で、日本人の独特な行動様式は海外から不思議がられた。当の日本人は無自覚だが、真の変人とはそういうものだ」という――。

※本稿は、早坂隆『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したのもです。

2020年6月10日、マスクを着用して通りを歩く人々(池袋)
写真=iStock.com/Fiers
※写真はイメージです

コロナによって浮き彫りになった国民性

パンデミック

外出
コロナ禍において、世界各国の政府が国民に外出を控えるよう求めることになった。

アメリカ政府はこう発表した。
「外出は正義に反する」
アメリカ国民は外出しなくなった。

イギリス政府はこう発表した。
「外出は紳士的ではない」
イギリス国民は外出しなくなった。

中国政府はこう発表した。
「外出したら拘束する」
中国国民は外出しなくなった。

フランス政府はこう発表した。
「外出しろ」
フランス国民は外出しなくなった。

日本政府はこう発表した。
「外出の自粛を要請します」
日本国民は外出しなくなった。

2020年、新型コロナウイルス感染拡大という災厄は、世界各国それぞれの「お国柄」を見事に浮き彫りにしました。否、「本性を炙り出した」と言ったほうが良いでしょうか。

いわゆる「第1波」の際、アメリカでは銃弾の売れ行きが急増。これは日用品不足に端を発する略奪行為に市民が備えた結果でした。いかにも「銃社会」のアメリカらしい反応でしたが、ネット上には「ウイルスより銃のほうが怖い」「銃メーカーがウイルスをばらまいているのでは?」といった投稿が溢れました。

フランスでは人気サッカークラブ「パリ・サンジェルマン(PSG)」の試合が無観客試合となりましたが、スタジアムの周囲には数千人ものサポーターが集結。大声でチャント(応援歌)を唄いながら、花火を上げたり発煙筒を焚いたりしました。フランスのネット上には「彼らが感染して亡くなれば、フランス国民の知能水準があがる」といったシニカルなコメントが相次ぎました。

アフリカのチュニジアでは「感染の予防にニンニクが効く」とのデマがSNSを通じて拡散。ニンニクの価格が急騰しました。

日本を含むいくつかの国々では、トイレットペーパーが品薄に。こちらもデマが原因でしたが、オーストラリアではトイレットペーパーを巡る乱闘騒ぎが勃発。香港ではついに「トイレットペーパー強盗」まで登場しました。

そんな一連の騒動を皮肉って、SNS上にはこんなツッコミも。「そんなにトイレットペーパーを買っても、お尻は一つしかないよ」。