選手としては寂しい「声援なし・花束なし」の試合

撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】フィギュアスケートというと、日本では熱狂的なファンが多いイメージが強いのですが、海外と比べてどうですか?

【宮原】日本は明らかにフィギュアスケート人気が高いと思います。日本で街を歩いているとたまに気づかれますけど、トロントで気づかれたことはありません。それはそれで新鮮な感覚ですね。

【三宅】今シーズンは新型コロナウイルスの影響で、試合後に花束が大量にリンクに投げ込まれることがありませんでしたが、選手としてはどういう気分なのですか?

【宮原】仕方がないとはいえ、やっぱり花束がなかったり声援がなかったりするのは、選手としては少し寂しいですね。純粋に試合の盛り上がりに欠けるというか。もちろん、盛り上がり方で演技が左右されるわけではないのですが、活気があったほうが楽しいですからね。

【三宅】つまらない質問で申し訳ないですが、あれだけの花束をいただいて、試合のあと、どうされるんですか?

【宮原】車にすべて積み込んで、自宅とおばあちゃんの家で2つに分けて、ありがたく飾らせていただいています。ちょっとした搬入作業です。

基礎を習得するなら日本、発展させるなら海外で

【三宅】日本を飛び出してみて、いろいろな気づきや発見があったということですが、正直いかがでしょう? もう少し早く海外に行っていればよかったと思われますか?

【宮原】それは思います。もともと海外に行くことが好きだったので、もう少し早くアメリカやカナダに行っていたら、いまごろ自分はどんな選手になっていたんだろうと考えることはあります。

【三宅】日本的なトップダウンの指導と、欧米的な主体性を重んじる指導の両方を経験されたことは、大きな意味があると思うのですが、仮に将来、お子さんが産まれて「スケートをやりたい」と言われたら、日本でやらせますか? それともアメリカやカナダでやらせますか?

【宮原】そうですね。最初は日本で、それから海外へ行くと思います。

【三宅】それはどういう理由からですか?

【宮原】日本の指導は、コーチ主導で進む分、厳しさというか、やるところはきっちりやらないといけない部分がありますよね。そういう指導スタイルを嫌う人も当然いるでしょうけれど、私は悪いことだとは感じていません。自分一人で自分を追い込むことはやはり難しいですから、基礎の段階では厳しい指導を受けたほうが上達は早いと思います。成果を出せるようになって、自分のスタイルがわかってきたくらいのタイミングで海外に行って、自分の長所をどんどん伸ばしていったほうがいいのではないかと思います。