自分と向き合う環境に置かれて、滑り方が変わった

フィギュアスケート選手の宮原知子氏
撮影=原貴彦
フィギュアスケート選手の宮原知子氏

【三宅】演技の面で、いままで完成されたものを変えて、なにか新たなチャレンジをされようとしているんですか?

【宮原】現時点で「ここを大きく変えたい」というところはないのですが、環境が変わったことで、スケートとの向き合い方とか、滑り方自体が少し変わった感じがします。

【三宅】練習方法が変わると、表現の仕方にも変化が出るものですか?

【宮原】はい。自分と向き合う機会が増えた結果、たとえばプログラムに関しても、ただ言われたことをこなすのではなく、「ここではこういう風にしたほうが良いのかな」と自発的に考えるようになりました。結果的に、プログラムがより自分のものになるというか、深い理解ができるようになっていると感じます。

海外での単身生活でオンとオフの切り替えがうまくなった

【三宅】そのほかに、カナダに行かれて大きく変わったことはありますか?

【宮原】日本にいたときは、オンとオフの切り替えが苦手で、「24時間いつもオン」という感じだったのですが、最近は切り替えの感覚がちょっとずつわかってきたと感じます。以前は、練習中は当然集中するのですが、練習が終わっても「さて休憩しよう!」という気分にあまりなれなかったんです。常に頭がスケートモードというか、次の日の調子のことをどうしても考えてしまって、結果的に十分休みがとれない状況がずっと続いていたと思います。

【三宅】なにがきっかけで意識が変わったのでしょうか?

【宮原】現地の人たちがしっかりオンとオフを切り替えているのを見ていることもありますし、あとは単身で行っているので、自分の身の周りのことは自分でやらないといけないことも大きいと思います。

【三宅】お一人で生活されているんですね。てっきりマネージャーの方が同行されているのかと思っていました。

【宮原】一人です。ですから、練習が終わっても「晩御飯どうしよう」とか「洗濯しないとな」とか、いろいろやらないといけないことがあるので、強制的に意識をスケートから切り離さないといけない機会が自然と増えています。個人的にはいい変化だなと捉えています。