科学的なアプローチで「表情筋」を鍛える
表情は、顔面にある表情筋を使って作られる。そのため表情筋を鍛えている人は、表情のバリエーションが豊富で、自分で表情をコントロールすることができる。逆に表情筋が鍛えられていない人は表情が乏しく、コントロールも苦手なものだ。
また、国による文化や習慣の違いも、こうした表情スキルと密接に関係する。特定の技能や資格を持って日本で働く外国人は、国によっては日本人の感情表現と大きく違うことがある。今後は「顔コミュニケーション」の時代を生き抜くために、日本仕様の表情トレーニングが必要となるだろう。
「顔コミュニケーション」の時代には、表情だけで信頼や好感度を生み、顧客との絆を育まなければならない。プレゼンテーションも同様で、表情スキルで契約を勝ち取ることが求められるようになる。そしてそのためには、表情筋のしくみを理解し、正しいトレーニングを始める必要があるのだ。
ただし、相手に対する「想い」だけでは表情筋は鍛えられない。アスリートたちが専門のコーチのもとで科学的なトレーニングをするように、表情筋の鍛え方も科学的なアプローチがある。
テレワーク中、声を出して笑っているか
顔の表情を作る表情筋は30種類以上も存在し、他の筋肉と比較すると細く、薄いという特徴がある。
そして表情は、眉、目の周り、口の周りの3点を中心に作られる。その3点を動かしている主な筋肉が、前頭筋、眼輪筋、頬筋、口輪筋の4つだ。個別にそれらの筋力を上げることは難しいが、表情筋全体を鍛えることで感情表現力はかなり向上する。
筋肉は動かすことで鍛えられるため、できるだけ顔を「動かす」ことを意識する習慣をつけるとよい。日常生活の中で、自分でできる表情筋トレーニングをいくつか紹介しよう。
① 大きな口でゆっくり「あいうえお」50音を言うトレーニング
顔を動かすことが目的なので、大きな声をあげる必要はない。声を出せない場所であれば、声を出さなくともよい。一つひとつの音を発声する度に、顔が動いていることを意識する。一音、3秒くらいかけてゆっくり顔を動かすとよいだろう。
② 「変顔」トレーニング
口をすぼめてみたり、鼻にシワをよせてみたり、顔中の表情筋を動かすつもりで変顔をつくる。Web上で変顔を集めているサイトなどもあるので、それを手本にしてみるのもよい。一表情10秒くらい、3~5種類くらい行おう。
③ 声を出して笑い続けるトレーニング
表情筋が最も活性化するのは「笑顔」になっている時である。思いきり笑うことは表情筋を鍛えるために最も効果がある。コロナ禍のテレワークなどで笑う機会は減っている今、笑うこと自体をひとつのトレーニングとして意識的に取り入れることもおすすめしたい。お笑いでも漫画でも、自分が笑えるネタを探しておくとよい。
このように、まずは表情筋を鍛えておくことが、表情豊かなコミュニケーションスキルを上げることにつながる。