業界3位のスカイマークに支援を求められたが…

コロナ禍では、ANAHDのグループ拡大路線も行き詰まりを見せている。その象徴がANA、JALに次ぐ業界3位のスカイマークだ。

スカイマークは2015年に113億円の赤字を出して経営破綻。その後、投資ファンドのインテグラルを中心に再建、再上場を目指してきた。スカイマークにはインテグラルが50.1%、日本政策投資銀行と三井住友銀行が共同出資するファンドが33.4%、ANAHDが16.5%を出資している。

国際線をほとんど持たないスカイマークはANAやJALに比べてコロナによる影響は軽微だと思われていたが、昨年4~9月期の営業損益は100億円を超える赤字になった模様だ。銀行からの借り入れで当面の資金繰りにめどはついているものの、このままでは2021年3月期の決算で債務超過に陥る恐れがあるとみられている。このため、スカイマークはインテグラルやANAHDなどの大株主に対し、第三者割当増資の引き受けを打診。しかし、「ANAHDは応じない公算が大きい」(金融機関関係者)という。

スカイマークを見捨てれば、自民党の反感を買う恐れ

ANAHDはスカイマーク以外にもスターフライヤー(北九州市)やAIRDO(札幌市)、ソラシドエア(宮崎市)などにも出資している。スターフライヤーに対しては昨年12月に追加出資することを決めている。

しかし、スカイマークに対しては「顧客データやシステムの共有化など統合を呼び掛けているのに応じないスカイマークに資金支援する義理はない」(ANAHD幹部)と突き放す。

AIRDOやスターフライヤーなど地方自治体も会社設立に絡んだエアラインについては「自民党から『絶対につぶすな』という号令が出ている」(JAL幹部)ので財務的に厳しい中でも資金拠出を求められれば応じざるを得ない。しかし、ANAHD自身の体力が消耗する中で、羽田空港などとの発着枠の争奪や料金値下げなどでANAの意向に沿わないスカイマークまで救うことはないというのが本音だ。

ただ、スカイマークに対するANAHDの態度はこれまで背後で支えてきた自民党の反感を買う恐れがある。