腰側にサインを出しやすい臓器
異常がある時に腰や背中に痛みが出やすい臓器は、ほかにもあります。
背中に近い腰が痛む時には膵臓の病気も考えられます。膵臓がんだけではなく、膵臓で小さな炎症が繰り返される慢性膵炎でも、腰痛のような症状があらわれます。
たまに、背中の右側をさして「ここが痛いんだけど、膵臓じゃないか?」と心配される方がいますが、膵臓があるのは左側。みぞおちとおへその間くらいの高さで、胃の裏側にあるので、膵臓の病気の場合は、左寄りの背中から腰にかけて症状があらわれやすいのです。
それから、子宮も腰の近くにある臓器です。そのため、子宮の筋層に良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」や、本来は子宮の内側にしか存在しない子宮内膜が子宮の外側にできてしまう「子宮内膜症」、「子宮がん」といった子宮の病気でも、腰や背中に痛みや違和感があらわれることがあります。
腰痛から子宮がんが見つかったケースも
子宮がんには、子宮の入り口にできる子宮頸がんと奥の方にできる子宮体がんがあり、その痛みは主に下腹部に現れやすいといわれています。しかし、腰痛や背部痛の原因となることも少なからずあるので、少しでも気になる症状がある女性は、ためらわずに早めに婦人科を受診してください。
また、胃と小腸をつないでいる十二指腸の粘膜が障害される「十二指腸潰瘍」でも、腰が痛むことがあります。十二指腸潰瘍と聞くと、腹痛のイメージが強いと思いますが、潰瘍が背中側にできれば腰痛としてあらわれることもあるのです。
ここまでに紹介してきた腹部大動脈や腎臓、尿管、膵臓、十二指腸といった臓器は、いずれも腹膜の後ろ側、「後腹膜」と呼ばれる場所にある臓器です。子宮は、半分が腹膜に覆われ、半分が外側にあります。
こうした腹膜の後ろ側(後腹膜)に存在する臓器は、異常がある時に、腰や背中側にサインを出しやすいのです。