「ちょうどいい座り方」のコツ
「エア・ボート漕ぎ」は、デスクワークで上半身が丸まりがちな人にぜひ行なってもらいたいエクササイズ。ふだんあまり使わない肩甲骨まわりの筋肉を使うので、肩こりの人にもおすすめです。仕事の合間、ちょっと疲れたなという時に数回ボートを漕いでみてください。気分転換にもなりますよ。
そして、エア・ボートを1回漕いだあと、後ろに引いた腕を下ろして太ももの上に置き、お腹に軽く力を入れたまま、頭の位置を変えないように顔を正面に戻します。その姿勢が、ちょうどいい座り方です。
自然に頭が背骨の真上に乗っかって、太ももと上半身でつくる角度が90度よりも少し広くなります。それが、もっとも腰に負担がかからないラクな座り方なのです。
なぜ座りっぱなしだと病気になりやすいか
最近、「座りっぱなしは良くない」と、よくいわれます。有名なのが、「1日に11時間以上座っている人は、4時間未満しか座らない人に比べて死亡リスクが40%高くなる」ということを示したオーストラリアの研究です。
この研究は、45歳以上のオーストラリア人、22万人強を対象とした大規模なものでした。1日のうち座っている時間の合計が「4時間未満」「4時間以上、8時間未満」「8時間以上、11時間未満」「11時間以上」という4つのグループに分けて調べたところ、座っている時間が長くなればなるほど、がんや心疾患、肺炎などにかかりやすくなり、死亡リスクも高くなるという結果が出たのです。
なぜ、座っている時間が長いと病気が増え、死亡リスクも高まるのでしょうか。
理由のひとつは、長時間同じ姿勢でいると血流が滞るからです。全身に酸素と栄養を運んでいるのが血管なので、血流の低下は全身の臓器や組織の健康にかかわります。血流が滞れば、もちろん筋肉も硬くなり、こりやすくなって、肩こり、腰痛といった問題も出てきます。
また、座りっぱなしで筋肉を動かさないと、血液中の糖を筋肉に取り込む働きが鈍くなります。このような状況が長期にわたれば、肥満や糖尿病、さらに高血圧や動脈硬化が進むので、心筋梗塞や脳梗塞などの発症とともに死亡のリスクが高まります。
がんのリスクが高まるメカニズムについては、まだ明確にはわかっていませんが、血流や代謝の悪化とともに免疫力が低下することが関与している可能性が考えられます。
こうしたことから、長時間同じ姿勢でいることや座りっぱなしでいることは体に良くないといわれています。