私は「家ではほとんど座らない生活」

医者という仕事も、デスクワークの人と同じように座っている時間の長い職業です。外来診療中は基本的にずっと座っているので、気をつけなければ朝から夕方まで座って過ごすことになります。

だから、家ではほとんど座らない生活をしています。まず、朝食は基本的に立食です。手づくりの野菜ジュースとヨーグルトとコーヒーが定番なので、野菜ジュースをつくりながら、キッチンで済ませます。そのため、朝起きて仕事に行くまでの間に座っているのは、トイレのなかくらいでしょうか。

池谷敏郎『腰痛難民』(PHP新書)
池谷敏郎『腰痛難民』(PHP新書)

さらに夕食も、日によっては立食スタイルで済ませます。つくり置きの料理や買ってきたお惣菜を食べる時もあります。そういう場合は、お惣菜は皿に移し、キッチンのカウンターに並べて、お酒も添えて、妻と2人で立ち話をしながら、まるでバーで食事をしているかのような気分で楽しんでいます。

妻がつくってくれた日には、食後の後片付けが私の担当です。夕食後、キッチンで洗い物をして、お風呂に入り、軽くストレッチをして寝るというのが日課です。

もちろんテレビを見てゆったりする時間も多少ありますが、家のソファーでも背もたれは使いません。ソファーに座るにしても、どかっと身を預けるのではなく、浅く腰かけて腰を立て、腹筋や背筋を使っています。

そんなふうに、仕事中に座っている時間が長い分、家にいる間は座りっぱなしにならないように気をつけています。

仕事は「背もたれのない硬めの丸椅子」で

もうひとつ工夫しているのが、仕事中の椅子。

以前、それこそ腰痛時代には背もたれのある椅子を使っていましたが、今は、あえて背もたれのない硬めの丸椅子を使っています。背もたれに寄りかかる姿勢が良くないことはすでに説明したとおりですが、なぜ硬めの椅子を使っているのかというと、座り心地が良すぎないものをあえて選んだからです。

ビーチ砂の木製のスツールにテディベア
写真=iStock.com/liveslow
※写真はイメージです

それと同じで、座面が少し硬い分、しばらく座っていると立ち上がりたくなるので、座りっぱなし防止に役立つのです。実際、今の丸椅子に替えてから、診察が終わって次の患者さんがいらっしゃるまでのほんの少しの合間に立ち上がって、1回エア・ボート漕ぎをしたり、伸びをしたりすることが増えました。

喫茶店でも椅子の座面が固いと、しばらくしたら立ち上がりたくなりませんか。お店によっては、回転率を上げるために、あえて座り心地が良すぎない、固めの椅子を選んでいるそうです。

腰に良い椅子と聞くと、立派な背もたれと肘置きがついている椅子を思い浮かべる人が多いと思いますが、私は、むしろ背もたれのない、座面が少し硬めで、長時間座っていると立ち上がりたくなる椅子のほうが、腰にとっても全身にとっても健康的だと思います。

ぜひお試しください。

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