「Aさんはもっと我慢しておけばよかったのに」とか「下がった時にドルコスト平均法で買うべきだったのに」などというのは、「後出しじゃんけん」にすぎません。リーマンショックの大混乱時に買い向かうことができるのは、よほどガッツのある熟練者か、全くの向こう見ずの初心者のどちらかでしょう。

ですから、このAさんの悲劇から言いたいことは、もし我慢してS&P500を保有し続けていたとしても、自らの持ち値(1500ポイント)を明確に上回るのに12年もかかっていた、ということなのです。

最大の弱点は「バブルが起こる」こと

実はここにこそS&P500インデックスの最大の弱点があります。

即ち「バブルが起こる」ということなのです。ドットコムバブルの時も、リーマンショック前の不動産バブルの時も、利益の裏付けのない企業の株価が恐ろしいほどに高い評価を受けていたと考えられます。

例えば、ドットコムバブルのピークである2000年3月時点でS&P500インデックスに含まれていた500社のうち、2002年10月までに株価が8割以上下落した企業は66社、9割以上下落した企業も38社ありました(途中で上場廃止になるなどして、データが取れない約50社を除く)。

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図表3は下落率が高かった主な企業ですが、相当数の企業が情報通信関連というだけで、不当に高い評価の株価を形成していたのではないでしょうか。その砂上の楼閣が崩れることがバブル崩壊なのです。

つまり、S&P500は20年、30年単位で保有すれば2倍、3倍になることも見込めるけれども、いったんバブルに巻き込まれてしまうと、暴落前に買ってしまった自分の持ち値、簿価を上回り、利益が出るまでに相当に長い時間がかかってしまいます。

事実として、ドットコムバブルの場合には実に12年もかかってしまったのです。

2000年3月22日~2002年10月9日までの株価下落率(配当調整済み)2000年当時の時価総額$100billion以上の企業を抽出

長期投資に欠かせない「参入障壁」の軸

私は今の株式市場がバブルにあるのかどうか、全くわかりません。しかし私が長期投資できる企業として最重要視している「参入障壁」という軸で、今の市場を牽引しているいわゆるGAFAという4社を評価すると、本当に4社4様だと考えています。

例えば、グーグルという会社は、「世界の情報を整理する」というコンセプトの下、その検索エンジンによって世界中の情報を集めることに成功しました。いまや中国やロシアなどの一部の国を除き、ほとんどの国でシェア9割以上を取っています。