「いいから早くしなさい」が持つ2つの問題
●NGワード2「いいから早くしなさい」
せっかく子どもが興味を持っていることがあるのに、親の都合で、親が考えるスケジュール通りに子どもを動かそうとする言葉です。たとえば、遊んでいる子どもに宿題をさせたいとき、まだ名残惜しそうな子どもに向けて発したりするのが典型的なシーンですね。似たようなNGワードに「そんなこといいからこっちをしなさい」というものもあります。
これらの言葉には2つの問題があります。
ひとつは、「今あなたが興味を持ったことは、どうでもいいことなのだ」というメッセージを伝えることになってしまい、子どもの心の動きを止めてしまうこと。
もうひとつは、「早くしなさい」と親が用意したメニューを与えることで、自ら取り組む意欲を失わせてしまうことです。
子ども自身の気持ちが向いていないときに無理にたきつけてもうまくいきません。
ゆったりとした予定を組むなどして親御さんが気持ちに余裕が持てるようにすると、これらのNGワードをあまり使わずに済むので、工夫してみてください。
大人目線の「何の役に立つの?」には要注意
●NGワード3「どうでもいい」「意味がない」「何の役に立つの?」
お子さんが低学年くらいまでの間は特に、これらの言葉は極力使わないようにしましょう。大人から見たら「そんなもの何の役に立つの?」と感じることでも、子どもにとっては自分の内面を広げるのにとても大切なことであったりするわけです。
知り合いのお子さんに、昆虫が大好きな子がいました。1日中、虫かごの前にいて、虫の絵をものすごく精緻に描くのです。お母さんは「そんなことより算数のドリルでもやってほしい」とぼやいていましたが、私は「6歳であの観察力はすごいから、絶対見守ってあげたほうがいい」と伝えました。
その後、その子は学年が上がるにつれて、理科も算数も好きな科目になりましたし、国語でも言葉の使い分けが上手になっていきました。虫の観察で伸ばしていった観察力、つまり細部をよく見る力がここで生きたのです。
子どもの関心事はあとで何につながるかわかりません。大人の基準で「どうでもいい」「意味がない」「何の役に立つの?」とジャッジする発想はやめましょう。
「役に立つかどうか」の思考で学びに触れさせていると、「これはテストに出ないからやらない」という発言につながっていきます。目先の利益にとらわれると、大事なものを見失います。