知識がなくても解ける問題が増えていた
私はこの日、「地理A」「政治経済」「国語」「英語」の4科目をお試し受験した。
地理Aや政治経済では、論理的な思考力や読解力があれば、知識がなくても解ける問題が多かった。
たとえば、地理Aの問題ではタピオカミルクティーという身近な題材をきっかけに、「なぜ、世界中からさまざまなものが集まり、食べたり、飲んだりできるようになったか」が問われた。問題ではこのテーマの研究事例として不適切なものを選ぶ。選択肢は次のとおり。
1 原産地を表示する制度により、地域ブランドを明示したフランス産のチーズが安価に輸入されるようになった。
2 自由貿易協定の締結により、オーストラリア産の牛肉が低い関税で輸入されるようになった。
3 輸送技術の向上により、ニュージーランド産のカボチャが日本での生産の端境期に輸入されるようになった。
4 養殖技術の確立により、ノルウェー産サーモンを一年中輸入できるようになった。
答えは1で、原産地を表示する制度が、世界中から食べ物が輸入されることの直接的な理由ではないことがわかれば小学生でも解けそうだ。
政治経済では、不良債権処理と貸し渋りの関係を、「経済不況以前」→「経済不況」→「不良債権処理」時の銀行のバランスシート(貸借対照表)を見て考える問題が出題された。高校生がバランスシートを見たことはないかもしれないが、答えはすべて図の中に書かれている(問題1参照)。知識偏重と批判されてきた日本の大学入試を、思考力重視に変えようとする意思を感じる問題が多かった。
まるで「ブラタモリ」。解くのが楽しかった
解いていて楽しかったのは、地理Aの第5問。
京都市に住むタロウさんが、京都府北部の宮津市の地質調査をする設定の問題。現在の地形図と江戸時代の絵図を比較したり、宮津湾と阿蘇海の間にある「天橋立」の調査では、タロウさんの撮った写真が示され、地図上のどこから撮影したかを問うたり(問題2参照)。筆者が試験の前の週に見た「ブラタモリ」でまさに同じようなことをしていて、解きながら番組を見ているような楽しさを感じてしまった。