「日本共創プラットフォーム(JPiX)」の設立に見えるもの

そして地銀や自治体との関係では、「行政の仕事を包括受託することや、地銀のATMの管理を郵便局で請け負うこともあると思う」(増田社長)とする。そのため、金融界では地方創生を旗印に、日本郵政グループが地銀再編に絡んでくるのではないかと注目されている。

撮影=プレジデントオンライン編集部
郵便局は2万4336局(2020年12月31日現在。閉鎖中の505局を含む)のネットワークを誇る。

その一端が垣間見られたのが、コンサルティング会社の経営共創基盤とゆうちょ銀行、KDDIなど8社が共同出資する「日本共創プラットフォーム(JPiX)」の設立だ。新会社は物流や飲食、製造業などで地域密着型の企業に投資、株式を長期保有して企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しする。2021年上期にも投資を開始する計画だ。

この新会社は経営共創基盤の冨山和彦代表取締役CEOの発案であるが、最大の出資者はゆうちょ銀行で、全体の50%を拠出する。「冨山氏と増田氏は地方創生で共著を執筆したほど親密で、この二人が菅氏に地方創生を提案し、政府の看板施策となった」(永田町関係者)とされる。

地銀との距離を詰めて、SBI連合の対抗軸になるか

さらに注目されるのは、この新会社には、商工組合中央金庫、三井住友信託銀行、埼玉りそな銀行、山口フィナンシャルグループ、伊予銀行、群馬銀行などが優先株を引き受ける形で出資することだ。優先株の引き受けは他の地方銀行や鉄道大手にも広がる見通しだ。それだけに、コロナ禍で苦しむ地方企業を支援する広範なプラットフォームになると期待されている。

また、新会社JPiXはSBIホールディングスの北尾吉孝社長が進めている地銀連合(SBI地銀ホールディングス)の対抗軸となるとの見方もある。

「当初、冨山氏は新会社をファンド形式で設立する計画だったが、ファンド形式では企業に対する短期の収益狙いと間違われかねないので株式会社形式に変更したようだ。ファンド色の強いSBI地銀ホールディングスを意識した戦略と言える」(メガバンク幹部)

いずれにしても日本郵政グループは地銀との距離を詰めていくことになろう。