無理難題を受ける商社の宿命

そもそも、商社というとグローバルな仕事をしているように思われるが、それは少々誤りがある。世界中を駆け巡るのは間違いないのだが、ただし、それは日本にいるメーカーや流通などのクライアントのために、だ。だから、彼らは国内クライアントを常に見ている。そのため、風土もかなり「日本的」となる。

国内クライアントの流通やメーカーは、自分たちでは調達やプロジェクト運営に手を焼くからこそ、商社に仕事を依頼し、高い金を支払う。ということで、商社の社員は無理難題を解決し続け、高い給与をもらうことになる。クライアントである流通やメーカーは「自分よりも商社の連中は高い給与もらっているんだから」と、さらに難しい仕事を依頼する。この連鎖で、儲けは増えるが仕事は息が抜けないようにどんどん追い込まれる。これが商社の宿命といえるだろう。

日夜かまわず仕事と一体になる働き方

エネルギー、鉄鋼、非鉄、穀物、魚介……。取り扱い領域で常に「難題」を持ち掛けられるから、専門知識も豊富だ。そうした知識の一つひとつ、先輩や取引先から鍛え上げられながら、10年程度かけてイッパシに育っていく。だから、30代中盤にもなると、専門知識と業界作法の塊となっていて、他事業部にはなかなか行けない。考えてみればわかるだろう。原子力発電のプロジェクトリーダーと、小麦の作付けのリーダーのバーターなどできるわけないから。こうした中で、「村落共同体」的な「純血」主義に染まっていく。

若いうちは、「知らない」「できない」ことだらけでもまれる。生き残るためには、愛嬌やかわいらしさも重要な要素となる。だから商社社員はえてして人の心をつかむのがうまい。気持ちのいいところがあり、クライアントの雑用にも喜んで付き合ったりもする。そしてもちろん、夜の付き合いも上手だ。海外赴任などした場合には、現地でクライアントを飯・酒のうまい店に連れていくのも、当然仕事の内となる。

まさに、日夜かまわず仕事と一体となる働き方であり、かつての「日本型」そのものといった状態になる……。それがひと昔前までの商社だった。