固定費の少ないイベントは、中止になりやすい
次にイベントの場合、旅館や飲食店以上に自主的にイベント中止に踏み切る主催者が多かったという特徴があります。その理由は固定費が少ないことです。
飲食店を経営していると毎月自動的に数十万円規模で賃借料が出ていきます。建物がでかいホテル経営ではもっと固定費が大きい。ですから顧客が来なくても営業して少しでもお金を稼がなければ倒産してしまいます。
イベントでも劇団四季のように劇場を持っていたり、プロ野球のように球団が選手と契約をしていて多額の年俸の支払いが固定費となっている業界では、さまざまな工夫をしてなんとか営業できるように頑張ったわけです。Go Toイベントで人気だった、USJのような施設型のイベント運営会社も同様です。
しかしまだ企画段階の演劇などは新型コロナの影響下では「やらない」という選択肢の方が経済的な打撃が小さくなります。なぜならこれから集まるスタッフもこれから押さえる劇場もすべて変動費だからです。つまり変動費が多いタイプのイベントは新型コロナの影響で2020年、2021年と開催自体が取りやめになりやすい構造が存在するわけです。
「毎年恒例のイベント」はあっさり中止になりがち
3番目の特徴として講演のようなイベントはB2B市場が結構大きいという構造があります。企業が取引先を集める発表会を行いその集客プログラムとして有名な文化人の講演を依頼するような形態です。
こういった需要の中で集客しなければビジネスに大きな影響があるような場合のイベントは決行されますが、年次集会のように恒例で行われていたようなイベントは新型コロナの影響であっさりと中止になりがちです。
さらに今後問題となるのは、B2Bでこの機会にイベント開催そのものを見直そうという動きが出てくることです。これはある意味当然で、恒例の年中行事だったから予算もついていたし誰もあえて反対しなかったイベントについて、一度中止してみたら「ひょっとするとそろそろやめ時なんじゃないか?」というまっとうな意見が出てくるケースが増えるわけです。
こうしてGo Toの効果が少なくて変動費が多いイベントや、取りやめやすい法人行事の場合、旅行や飲食とは違い、主催者側の判断で供給が停止されるケースが続出したわけです。これが新型コロナのイベント業界への影響の大きな特徴です。この冬の第三波で緊急事態宣言が再び発令されたことで、2021年のイベント業界でも開催中止のイベントが相次ぐことになりそうです。