家庭の家事・育児負担が大きな壁に

【川久保】その通りだと思います。私はそうした経験はしませんでしたが、女性のほうがいろいろ言われやすいという話は聞きますね。壁という点ではもうひとつ、女性の家事育児負担が大きいのも問題だと思います。私は夫と完全に5分5分で分担していますが、それでも選挙までの間はかなり大変でした。

でも一般的には、「家事育児は妻がするもの」という家庭も多いですよね。そんな中でパートナーがどこまで協力してくれるのか。このサポートが得られる女性が少ないことが、まずもって女性政治家が増えない理由ではないかと思います。

選挙期間中、子どもたちと公園を散歩しながらのゴミ拾い(写真提供=本人)

【申】IPU(列国議会同盟)が実施した議員へのアンケート調査では、女性の立候補のハードルが高い要因として主に4つが挙げられていて、これが実は世界共通なんです。家族の反対、性別役割分業、ジェンダーステレオタイプ(男性・女性に対して社会が持つ先入観)、そして自分に自信がないこと。

一方、男性はハードルとして費用や政党の支援の有無などを挙げていて、女性とはまったく違うんですね。特に日本では性別役割分業の壁が高く、女性が家事育児に割く時間は男性の7倍以上。これでは選挙に出られないのも当然です。

【川久保】選挙までの間、夫がいつもより多めに家事を負担してくれていたのですが、選挙後に夫から“苦情”が入り、今では5分5分の分担に戻りました。

夫には負担をかけてしまい本当に申し訳なく思うと同時に、「もし自分が男だったら、そもそも家事育児の負担をほとんどせずに活動できた可能性が高いよな」とも感じました。

今の日本の社会通念上、女性であれば家事育児を少なくとも半分以上は負担するのが当たり前とされています。一方男性は、半分以下の負担が当たり前で、半分まで負担すれば「理解がある」などと褒められます。性別は自分で選べないのに、おかしいですよね。

息子が将来、パートナーを困らせないように

【申】性別役割分業問題のとらえ方には、「だから女性は政治家になれない」と、「だから女性が政治家になろう」の両面があると思います。この問題は、「なれない」とあきらめるよりも、「なろう」と考える人が増えたほうが解決に向かいますよね。女性の国会議員は独身が多いのですが、地方議員は夫が協力してくれたから選挙運動ができたという、川久保さんと同じケースが多いんです。

自宅で仕事中の川久保さん(写真提供=本人)

ですから、女性政治家が増えるとしたら、おそらく地方政治から。こうしたロールモデルが地方からどんどん増えていけば、性別役割分業への圧力もいずれなくなるのではないでしょうか。

【川久保】難しいのは、個々人がそこへ向かうために夫にどう意識づけをするかという点ですね。うちの夫婦の場合、夫は「男は仕事、女は家庭」、私は「男も家事育児をやって当たり前」の家庭で育ちましたから、家事育児負担については結婚前に私からはっきりと半々を求めたんです。幸い、夫は私の能力をいちばん認めてくれる人だったので、それを受け入れて仕事も選挙も応援してくれました。

あとは、2人の息子が将来パートナーを困らせないように、私たち夫婦の姿をロールモデルとして見せつけておかなくちゃ(笑)。男性は、女性が何も言わないと全部やってもらおうとしがちですから、女性のほうもそれを変えていく意識を持って、お互いの能力を高め合える関係を築けたらいいなと思います。