最初から目指していた「海外」と「プロ」

撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】最初から世界で活躍することを意識されていたわけですね。

【杉山】そうですね。当時は国内の大会がけっこう充実していたのですけれども、やはりグランドスラム(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)が夢だったので、小さい頃から目標として海外がありました。

【三宅】実際に海外でプレーをはじめたのは14歳から。

【杉山】大会に遠征という短期の形ではありましたが、18歳以下のジュニアの枠で14歳から海外経験を積ませてもらいました。遠征先はアジアの国々が多かったんですけれども、そこで成績が良かったので、15歳のときにジュニアの部門で世界1位になることができました。

【三宅】素晴らしい。

【杉山】ただ、私が目指していたのは「海外」かつ「プロ」だったので、ジュニアに対する執着はあまりなく、16歳くらいから大人の試合に出始めて、17歳でプロに転向しました。

「この人とプレーしたら楽しいか」と考える

【三宅】プロ転向後も大活躍をされ、シングルスでは世界のトップ10。そしてダブルスではグランドスラム優勝4回、世界ランキング1位を取られています。ダブルスの強さの秘訣はなんですか?

【杉山】ダブルスのほうが成績は良いんですけれども、自分としてはシングルスのほうが優先順位が高かったんです。

【三宅】そうなんですね!

【杉山】はい。でもシングルスに重きを置いていたからこそ、せめてダブルスはツアーの中でも仲の良い選手と楽しい時間を過ごしたいというのがありまして、「この人と組んだら勝てるかな」ではなく、「この人とプレーしたら楽しいかな」ということを考えてパートナー探しをしていました。ようは「できるだけランキング上位の人と組もう」という発想ではなく、「できるだけ相性のいい人と組もう」という発想だったということです。結果的にそれが好成績につながったのだと思います。

【三宅】会社のチーム作りに通じる話ですね。優秀な人材をかき集めたからといって、そのチームが活躍する保証はない。

【杉山】そうかもしれません。もちろん私もすべてのペアでうまくいったわけではないですけれど、大体仲良い選手と組んでいるので、おそらく他のチームと比べて絆が深いというか、お互いの表情を見るだけでわかり合える信頼関係があるんですね。すると密度の濃いコミュニケーションや、目標に向かって考え方を合わせていくということがやりやすくなるんです。