都内の模擬ワーケーションがおすすめ

コロナ前からワーケーションを実践してきた達人は、実体験を踏まえ、そうした場所による仕事の向き不向きを知っています。片やそうした向き不向きに鈍感なのが、コロナ禍で初めてワーケーションを試みる初心者です。確かに都心のオフィスでしか働いたことのない人が、屋内外のどんな場所で仕事をするのが最適か、判断するのは難しいでしょう。

そこでお勧めしたいのが、都心で“模擬ワーケーション”を試行することです。例えば落ち着いて作業できるカフェやコワーキングスペースで仕事をしてみると、意外と椅子が重要だったことや、適度にざわざわしているほうが集中できることなどに気づくはずです。普段から自分の仕事内容に合うベストな環境はどこかを意識すること。それがワーケーションの落とし穴にはまらない一つの方法なのです。

落とし穴②観光オンリーとなり仕事が手につかず

「2泊3日でワーケーションしてきました!」。最近Twitterでそのような書き込みをする人をよく見かけます。リモートワークが普及したのを契機に、一部の企業ではワーケーションも制度として導入し始めており、会社を休まなくても、数日間地方に出かけることが可能になっているのです。しかし数日間で、仕事(ワーク)と休暇(バケーション)のどちらも充実させることは実はハードルが高いもの。よほど計画的に過ごさない限り、両者のどちらかに極端に偏るか、あるいはどちらも中途半端に陥りかねません。観光地であれば、せっかく来たのだからと有名スポットの散策に明け暮れ、結局仕事が手につかなかったというケースもよく耳にします。

提携先開拓で訪れた兵庫県新温泉町にて。「どこでも仕事をしないといけないかわりに、好きなところにいつでも行ける」

では、どうすればいいか。ワーケーションが好きなあまり、ついには家を持たずに移動しながら生活する“アドレスホッパー”になった、ウェブサイト制作業や定額住み放題サービス「HafH」の新規提携先開拓を請け負う森山真祐子さんがアドバイスするのは、平日の2泊3日で地方に行ってワーケーションするなら、「せめてその前週末から訪れ、休暇を満喫してから仕事モードに切り替える」ことだ。金曜夜か土曜朝に出発し、土日に滞在先を巡ることができれば、月曜からの仕事もはかどりやすい。「オンとオフのメリハリをつけて滞在することが重要」(森山さん)と言います。

もちろん、せっかくワーケーションをするなら、1週間以上滞在できるに越したことはありません。「海外では1カ所に1カ月間滞在しながらリモートワークし、世界各地を渡り歩くツアーも存在します。1カ月とまではいかなくても、1週間でも滞在すれば、その土地での暮らしを味わうことができます。観光客とは違う視点に立てるのも、ワーケーションの楽しみです」(森山さん)。

写真提供=森山真祐子さん
兵庫県の城崎温泉にて。足湯に浸かりながらワークする森山さん。