NYの隣、NJ州に住む小西一禎さん。日本に一時帰国することの想像以上の大変さと、帰国期間中に感じた日本国内におけるコロナ対策のゆるみとは――。
スーパーで買い物中の女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep-bg)

海外からの帰国者のリアル

8月から9月にかけて4週間ほど、所用で日本に一時帰国した。コロナ禍で世界的に移動が制限されている中、これまでにないほどの不安を抱えての飛行機移動、母国滞在となるため、入念に準備し、日本国内でも必要以上に神経をすり減らす日々が続いた。海外からの帰国者・渡航者には、一律14日間の自主隔離を求める日本と、ごく最近まで日本から来た人には強制的な隔離を要してこなかった米国。いつ収束するのか、誰も分からない現状を踏まえ、日米双方で重ねた実体験から浮き彫りになった事象を紹介してみたい。

「399番さん、検査結果は陰性です。偽陰性になることもままあるので、引き続き気を付けてください」。

ニューヨーク・JFK空港から14時間もの長旅を終え、羽田空港への到着直後に待ち受けていたのは、新型コロナウイルスの検疫検査だった。数カ月前に米国で受けた検査で陰性だったとはいえ、検疫官からこの言葉を聞き、検査前後の張り詰めていた心から解放され、ひとまず安堵した。同時に、偽陰性可能性の指摘を受け、緊張でしばし忘れていたロングフライトの疲れが、あらためて出てきたのを思い出す。