感情の機微を読み取れる女性がコロナ禍で活躍
新型コロナという未曽有の危機の中でリーダーの真価が問われ、本当のリーダーシップが試されました。そこで台頭したのが女性リーダーたちだったことを私は心強く思います。
コロナ危機の本質は、戦う相手が外敵や他国ではなく、見えないウイルスであること。そして人々の恐怖や孤独、不安という内なる感情とも闘わなければいけないとき、その恐怖を鎮めることが求められます。女性はそうした感情の機微を読む力がとてもすぐれています。
敵国をたたくことで、危機を勝ち抜こうと鼓舞するような男性的レトリックはウイルスとの闘いには役に立ちません。人々の不安と向き合い、「大丈夫」と励ましたり、勇気づけたり、やさしく包み込む共感力が必要とされる危機において、女性としての強みが生かされたのだと思います。
もちろんそれだけではなく、非常に能力が高い。とくに女性は「ガラスの天井」といわれる障壁を乗り越えなければいけないので、男性たちと比べてはるかに大変な道を歩んできているわけです。まさに選ばれた超一流の人たちがトップに立ち、こうした非常事態時でもリーダーシップを発揮できたのでしょう。
ドイツ、ニュージーランド、台湾、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランドなど、コロナ対策に成功しているといわれる国では女性リーダーの活躍が目立ちます。それぞれスタイルの違いはあれど、共通しているのはやはり“共感力”です。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、本当にどっしりとした重厚感があって、「ドイツのお母さん」といわれています。もともと物理学者としての知見を持っているので、科学的な知識をもとにロジカルに説明される。この人に任せていれば大丈夫と思えるような安心感があります。