初日のキツい洗礼
「最初はえらいところに来ちゃったという印象でしたね」――そう語るのは、東レ経営研究所でダイバーシティ&WLB推進部長を務める宮原淳二さん(55歳)。日本のダイバーシティ(多様性)推進をミッションとするNPO法人J-Win(内永ゆか子理事長)は、さまざまな企業の男性管理職を集めて、とりわけ女性社員の活用推進を目的とした1年間・月1回のプログラム「男性ネットワーク」を開催している。そこに参加した宮原さんは、初日早々にキツい洗礼を浴びたようだ。
「内永さんの講話が1時間ぐらいでしたが、最初からズバズバ言うわけです。その後、質疑応答の時間になってさらにパワーアップされた感じで、私たちの質問に対し、『そんなこと言ってるからダメなのよ』とバッサバサ返される。ある会社の管理職の方が、『女性社員がキャリアアップにあんまり積極的じゃないんですよ』という意味の質問をしたら、『それは、あなたがそう思っているだけで、本人たちは本気で思っていませんよ』と返されていました」。内永さんってすごい人だな、というのが第一印象でした(宮原さん、以下同)。
このプログラムのキーワードは「オールド・ボーイズ・ネットワーク(以下OBN)」。“マイノリティ”である女性社員のモチベーションを奪ってきた、男性集団の悪意なき言動やその文化全般のこと。プログラムの目的は、このOBNの「存在」に気づき、ハラ落ちして自社内の女性活用推進に役立てることだ。
宮原さんは、前職の資生堂時代からワーク・ライフ・バランスについては社内で中心的な役割を担い、転職した現在でも、ワーク・ライフ・バランスや女性活躍支援など、積極的に関わってきたが、内永氏の言葉に対しては「反論の余地もなかった」と振り返る。