上っ面だけではない、本気の集まり
「上っ面だけじゃないというのが、私も含めた男性たちの印象だったと思います。男性の、しかも管理職だけで女性活用をガッチリと学ぶ会合って、あんまりないですよね。年1回くらいしか集まらないセレモニー的な『女性の活躍を応援します』っていう集まりはあまり好きじゃなくて参加していません。できれば男性会員と現場での女性に対するマネジメント手法を悩みながら学んでいく実践的な会合がないかと探していたところ、この会合に出合ったのです」
月1回開かれる分科会の参加メンバーは約20人で、うち宮原さんが加わったチームのメンバーは、業種の異なる6人。「女性が社員の半分くらいの外資系生保もいれば、男性9割の重厚長大企業の方もいて、一社一社違う感じですね。テーブルを囲んで話し合う1時間があっという間でした。皆さんは、共通の問題意識を持っており、受け身の方はいませんでした。誰かがしゃべればすぐ他の誰かがしゃべる。社内事情も含まれるので、一歩外に出たら口外しない紳士協定が前提ですが、自分の体験などを洗いざらい話していましたね」
「指示には120%で返す」「ランチは最短で」を見直す
主に40代、50代の男性管理職。会社は違えど、育ってきた環境はかなり近い。女性の部下についての「あるある!」話がどんどん飛び交ったという。
「例えばある生保の方が言ってましたが、『われわれの世代は上からこれやれ、と言われると、言われなくても120%で返すのが当たり前。今の人たちが100で返したときに、ちょっと機嫌が悪くなる自分がいる』『120%と言われなくても当然やるもんだ』と。そういう心情は確かにあるなあと思いました。対面できちんと伝えればよいものを、それが言えないのです」
職場の冷房の快適な設置温度や、ランチの取り方にも男女間で大きなギャップがあった。コロナ禍で少し状況は異なるが、しゃべるヒマもなく食べてすぐ自席に戻る管理職はいても、皆で黙ったままランチを取る女性たちはそうはいない。
「われわれはいかに短い時間でランチを食べて職場に戻るかを考えていました。早く食べる人は仕事ができる、という観念がありましたから。でも彼女たちは1時間なら1時間、コミュニケーションの場だと捉えて目一杯使います。そこで早く食事を終えて暇そうにしているのは良くないね、ゆっくり食事をしながら話に耳を傾ける必要もあるよね、という話も出ましたね。食事に関しては、夫婦間でも言えることですが(笑)」