「役員に忖度しすぎ」女性からの厳しい意見

女性側から、男性のOBNはどう見えるのか。J-Winの女性メンバーが回答したアンケート。女性社員が日々感じている(いた)モチベーションの低減・職務遂行上の弊害となりうる「男性管理職が無意識に行っている職場での行動や考え方」を、一人3個程度ずつ記したものだ。その結果を落としたエクセルを、栗原さんチームの各人が持ち帰って読み返すのだという。

「かなり、きつかったですね(苦笑)。たとえば部長決裁を貰うために、部内で話し合ったことを提案しますよね。そこで、役員が提案とは違うことを言うと、管理職は『私もそう思ってました』と忖度してしまう。部内の提案がまったく変わってしまうのを目の当たりにした女性部下の方の、『せっかく部内で検討したのだから、そこでもっと戦ってほしい』という指摘もありました。『今までの打ち合わせは何だったのか』とか、『役員に忖度し過ぎ』とか、そんなことがいっぱい書いてありました」

「仕方ない」「組織とはそういうものだ」という男性と違って、そんなリーダーは人間的に尊敬できない、と部下の女性たちは見ているのだ。

過度の配慮は女性のやる気を奪う

「育児短時間勤務中にかけられた『もういいから、早く帰っていいよ』という言葉に過度の配慮を感じたという意見もありました。途中でその仕事は男性部下に渡されたようで、『男性ほど期待されてないんだな』と書かれている方もいらっしゃいましたね。また『同期でもチャレンジタスクは男性に、サポートタスクは女性に割り振られる』との意見もありました」

しかも、管理職側は意外にそれを疑問に思わない。

「一緒に営業にいくと、先方と話すのは男性、議事録をつくるのは女性と決まってしまっている。そういうのを見ていると、だんだんやる気がなくなってしまう。私は補助的な仕事を任されているんだとアンケートには出ていました。J-Winに来る女性は意識の高い方が多いので、過去に自分がイヤな思いをしたことはしっかり記憶していて、それを文章化することに長けている。すべて読ませていただきましたが、本当に心に響きましたね」

このアンケートを読み込んだ6人は、合計385のコメントを「キャリア支援」「仕事」「子育て」など10項目程度にカテゴライズし、おのおので最も印象に残ったコメントを各自3つずつ選んで感想を共有し、なぜ男性管理職がそういう行動を起こしたのかを検証しリスト化した。……というと聞こえはいいが、「はっきり言えば男の悲哀、言い訳探しだった」と宮原さんは苦笑する。

「たとえば、『仕事は気に入った人に任せる』というコメントには、あ・うんの呼吸でやったほうがスピーディで結果も出るから、といった理由が出てきました。『男性は食事が早い』や、『いっしょに歩くと先に行ってしまう』には、別に嫌がらせでやっているわけではなく、速く歩いたほうが効率的だから、という軍隊の名残りみたいな文化が体に染み込んでいるせいかもしれません。自分がそういう文化で育ったものだから、ついつい部下にも同じことを求めてしまうのだ、といった言い訳が出ました」