「男の言い訳」からの大転換

ここから大きな転換が起きた、と宮原さんは言う。無意識のうちにやっていることが、職場の女性たちをどれだけ傷つけているかを知ろうじゃないか。やったらイタがられる、モチベーションを下げることを気づかずやり続けるのは、今後職場から生まれるかもしれないさまざまな可能性を、確実に潰していることになる。何とももったいない。

分科会の成果を職場にフィードバックしたメンバーの中で、何か変化はおきたのだろうか?

「持ち帰って実際に試してみたいという人もいました。雰囲気がよくなったとか、データとして取っていませんが社員の定着率が上がったという話は聞いています。私も女性の部下へのプラスのフィードバックを心がけました。他のメンバーからも冷房の話や、一緒にランチをとる際には、相手のペースに合わせながら、コミュニケーションをとることを実践された方もいました。分科会に参加したおかげで、だいぶ職場の雰囲気は変わってきたようです。私も今後は仕事の分担も性別ではなく仕事ベースで行い、部下のキャリアプランに深く関わっていくことを目標にしています」

冒頭の内永理事長の指摘にある、OBNのあおりでキャリア形成に消極的な女性はたくさんいる。そうした女性たちを”変える”ことに重きを置く宮原さんは、1on1ミーティングで対応していくという。

「『何かあったら責任持つから』『支援するから』などと最初に伝えておけば女性部下も安心するけど、『後は勝手にやって』など、任せすぎて放置すると不安が広がっていきます。男性はある程度放置されるのに慣れているでしょうけど、女性はやっぱり適宜、仕事の進捗状況や、今仕事で悩んでいることを頻繁にきく必要はあるかなという気がしますね。まあ、女性でも『ほっといてほしい人』とか、たまに確認すればいいという女性もいますから、それぞれの個性に応じて……ではありますが」

男たちが考えた「男性が心がけるべき行動原則10カ条」

宮原さんら6人は、最後に男性が心得るべき行動原則を10カ条にまとめた。

第1条【行動(成功体験)の押し付け】

成功体験はあなたの宝物として心の中にしまっておきましょう

第2条【上司への忖度】

上司の顔色よりも部下の仕事の成果を見ましょう

第3条【男女間の不平等】

仕事の進めやすさ、振りやすさに関係なく、平等に仕事が分担できるよう、マネジメントしましょう

第4条【傾聴がない】

話の腰を折らず、最後までしっかり聞きましょう

第5条【理解不足】

一人ひとりの仕事に対する価値観を尊重しましょう

第6条【放置】

仕事の目的、背景をしっかり説明した上で、部下に仕事を任せ、伴走しましょう

第7条【男性固有のネットワーク】

部下から誤解を招くような固有ネットワークは避けましょう

第8条【男性固有のイベント】

物事はオープンな場所で決めましょう(喫煙所、飲み会、ゴルフ場等では決めない)

第9条【生活リズムの男女差】

歩行や食事のスピードに配慮しましょう
冷房のかけ過ぎに注意しましょう

第10条【合間(ランチタイム、移動時)】

歩行中もランチタイムも(部下との)貴重なコミュニケーションの機会と捉えましょう

「第1条については、多いんですよ、武勇伝を話す男性の方が。たとえば昔の残業100時間とか、そんなことを。心の中にあるだけならいいのですが、他人に言ってしまう方がいるんです。食事のときも特にワリカンだったら仕事の話はヌキで。もっと人間的な話がしたいですよね。じゃないと誰もついてきませんからね」