客離れの影響が少ないのはサザビーリーグの存在が大きい

シェイクシャックが日本への出店に当たってはサザビーリーグと提携しています。コロナ禍でも店舗に訪れる人が絶えない人気ぶりは、数々のブランドを発掘・育成しては日本に新たな「ライフスタイル」を定着させてきたサザビーリーグの存在が大きいと考えます。

日本経済新聞は2015年7月12日の記事「サザビー流、『半歩先』ライフスタイル次々創造」で、サザビーリーグと言えば、スターバックスやロンハーマンなどを日本に持って来たことで有名な企業だと伝えています。サザビーリーグは生活者を飽きさせない、半歩先をいく独特な経営戦略で一目置かれている企業といいます。

10月22日、サザビーリーグは「シェイクシャック」の値上げを発表しました。11月4日からシャックバーガー(シングル)は本体710円を760円、同(ダブル)は1010円を1060円、ハンバーガー(シングル)610円を660円、同(ダブル)910円を960円に、それぞれ50円値上げします。値上げの理由についてプレスリリースには「昨今の原材料費や人件費の高騰を受けて、商品とサービスの品質維持・向上するため」と書かれていました。

新型コロナの影響を受けて飲食店はどこも厳しい状況が続いています。しかし、サザビーリーグと組んでいる日本のシェイクシャックは、コロナ以前から顧客を楽しませる美味しい食事、居心地の良い空間・店づくりの工夫を凝らしてきたことや、コロナ禍でテイクアウト・デリバリーにも対応していることで、比較的、客離れの影響は少ないといえるでしょう。実際に、隣の席の女性に「50円値上げ」について聞いてみたところ、「値上げのことは知らなかったけど、シェイクシャックは空間が素敵で美味しいので、値上げしてもまた来たいお店」だと語っていました。

筆者撮影

独自路線でコアファンを獲得した日本シェイクシャック

シェイクシャックは高品質・健康志向を打ち出しています。同じハンバーガーチェーンのマクドナルドやモスバーガーも高品質・健康志向の路線を打ち出していることから、競争は激化しているようにも思えます。

ですが、シェイクシャックの特別感は一線を画していると感じます。それを可能にしているのは、店舗数の少なさです。競合は拡大ありきで、次々と新店舗をオープンさせる一方、伸びない既存店はどんどん閉店させるという典型的なチェーン展開を図っています。日本のシェイクシャックは、それらとは全く違うルールで勝負しているように見受けられます。

拡大路線を取りつづければ、自社店舗同士が客を取り合うようになり、従業員不足からオペレーションは粗雑になり、結果的にブランド棄損を招く恐れがあります。その戦いのフィールドにあえて立たずに、独自で作り上げたフィールド、独自に生み出す新たな「ライフスタイル」で戦うのが日本のシェイクシャックであり、サザビーリーグの得意技です。

日本における店舗数は少ないものの、祝日のお昼時、シェイクシャックのライフスタイルを好むファンで店舗はにぎわっていました。この強さは値上げ後も続くのではないかと見ています。

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