これから感染が爆発したら日本はどうすべきか

欧州で第1波のときのような強い行動制限を導入すれば、社会や経済に対する悪影響は取り返しがつかないほど深刻なものになるかもしれない。長期のためには短期を犠牲にするべきだという考えは確かに正論だろうが、長期のためにも短期をどう生かすかという戦略観に、現実的にはシフトせざるを得ないのだろう。こうして考えると、強い行動制限が導入される可能性は低いと考えられる。

幸いなことに日本では、新型コロナウイルスの感染者数、死者数ともにそれほど増えていない。冬季にかけてインフルエンザなど他の感染症との同時流行が懸念される一方で、近隣各国との間で商用目的の渡航解禁を模索するなど、大局的には行動制限が緩和される方向にある。とはいえ、欧州のように感染が爆発的に広がる事態が起きるかもしれないし、合わせて死者数も増えるかもしれない。

たしかに日本の行動制限は第1波の際も諸外国、特に欧州に比べると軽かった。とはいえ飲食などを中心に雇用は悪化し、多くの失業者が生まれたことに変わりはない。また学校の閉鎖などで、子供たちの教育の機会は奪われてしまった。残念なことに自殺者数も7月以降は前年比で徐々に増加しており、コロナ禍での社会経済の変容との関連が指摘されているところである。

日本で感染者が爆発的に増えた場合、あるいは爆発的な増加が懸念される事態になった場合、感染対策の強化は免れない。とはいえ、欧州の実例が物語るように、社会経済活動への配慮は欠かすことができない視点となる。菅政権の下、長期のためにも短期をどう生かすかという戦略観に基づいた現実的な対応がとられることを期待したい。

関連記事
NYから一時帰国した駐夫が目の当たりにした“背筋が凍る”日本のコロナ対策
コロナより怖い"老後大格差地獄"が襲来…定年後6割が再就職できない惨劇
「時給1万円のバイトが消滅」ブランド病院の医師が苦しむコロナ大減収
バカほど「それ、意味ありますか」と問う
「12月から募集、3月末で退職」これから深刻化するコロナリストラの6つの予兆