「まずは賃貸」という選択肢はない

日本人はローンを借りることに対して消極的だが、今の住宅ローンは「借り得」な状態にある。マイホームの住宅ローン金利はネット銀行なら、0.5%を切る水準にある。そして、先述の住宅ローン控除で、ローン残高の1%は所得税還付できる。金利が0.5%で、1%の税還付をすると、0.5%のマイナス金利になる。住宅ローンを借りると、金利を払うどころかお金がもらえるのが実態なのだ。

話を簡素化するために購入価格=ローン借入額にすると、マンションの利回り4%(賃料を払うなら、物件価格の4%相当になるから)に0.5%のマイナス金利なので、マイホームは実質4.5%の利回りの物件になるということだ。

これだけ金利が低いと、元利均等返済をする際の元本返済額は毎年2.7%程減っていく (金利0.4%台を想定)。マンションの値下がり率は年2%なので、10年たって売ると、これらの差分の10年分の7%のプラスが生まれることになる。これだけでも十分な購入理由になる。

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もし、物件価格が値上がりしないにしても、価格が下がらなければ、10年で27%の資産形成をしたことになる。4000万円で購入していれば、1000万円以上になっている。こうした含み益は自宅だけは3000万円まで無税となっている。こうした値上がり益には不動産投資の場合には20~40%程の税率が課せられる。これだけ、日本は持ち家取得を促進している国なのだ。制度を使わない手はない。まずは賃貸という選択肢はないということだ。

アベノミクスで買いそびれた人は全員後悔している

「オリンピック後に価格が暴落する」など、マンション価格を巡る下落の希望的観測は多い。今買うと高値つかみになるのではないか、は購入判断を鈍らせる。こうして買いそびれた人は全員後悔している。「あの時買っておけば良かった」と。アベノミクスの金融緩和以降、首都圏のマンション価格は上がり続け、5割高にまでなったのだから。

新築マンション価格は土地代+建築費+粗利益の足し算によって価格が決定される。おおよそ2年前に仕入れた土地が今分譲されているのが実態である。金融緩和すると不動産の購入資金に潤沢に資金が貸し出される。こうして地価が上がっている。これを推進している黒田日銀総裁の任期である2023年まで新築価格は下がる理由はない。この後、建築して売り出す2025年まで新築マンション価格は下がらないのである。新築が下がらなければ、中古が下がるわけがない。

リーマンショック後に不動産事業への資金が滞り、その下げ幅は新築で13%、中古で7%となった。これだけ下げたのは、倒産した不動産事業者が続出して、資産の投げ売りを迫られたからだ。今は未曽有のカネ余り状態で資金が不足することは考えられない。