資産価値の高い都心のタワーマンションは、とても高い。買えない人は住宅購入を諦めるしかないのか。スタイルアクト代表の沖有人氏は「都心のタワマンを買えないからといって思考を止めてはいけない。次に有利な選択肢がある」という——。
日本のタワーマンション、高層ビル
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持ち家は値上がりするが、払った家賃は戻って来ない

タワーマンションを買った人は9割以上が儲かっている。資産性の意味で鉄板商品だ。しかし、都心のタワーマンションは非常に高く、買える人は少なくなった。これを買えないからと言って、思考を止めてはいけない。次に有利な選択肢もあるし、取ってはいけない選択肢もある。その整理がつけば、あとは行動あるのみになる。

持ち家購入の理由は、「家賃がもったいない」と「持ち家は資産になるから」が現在の2大理由になっている。まさにその通りであり、この10年で持ち家と賃貸の資産の差額は平均3400万円になっている。持ち家は値上がりし、払った家賃はもう戻って来ないからだ。

持ち家と賃貸のこの10年間のお財布事情

持ち家と賃貸の資産状況を比較してみよう。

平均10年経過したマンション購入者の値上がり益は平均600万円で、購入価格6000万円を10%上回っている。これに対して、同じマンションに賃貸で住んでいたら、家賃は物件価格の4%相当なので、6000万円の4%、年間240万円が10年で2400万円支払うことになる。つまり、持ち家が+600万円、賃貸が-2400万円なので、その差は3000万円となる。

これに加えて、住宅ローン控除というローン残高の1%を所得税還付する軽減税制がある。対象となる残高は上限4000万円のため、年間40万円、10年間で400万円のキャッシュがもらえる。これを加えて、3400万円の差になる。これが持ち家と賃貸のこの10年間のお財布事情である。

相場価格の変動がなくても、その結果は持ち家に軍配が上がる。1年の平均下落率は2%で家賃の4%より低い。10年で20%下落は40%の賃料を払うことの半額で済む。