「軍事力の行使よりも経済と外交努力をすべき」

さらに、国を「友達」「敵」「競争相手」としてみるとどうか? という調査もある。その「友達」ランキングで、日本は5位に位置し、1位イギリス、2位フランス、3位ドイツ、4位イスラエルという順。一方、「敵」は、1位が北朝鮮で、イラン、ロシア、サウジアラビア、ベネズエラ、中国と続く。日本は英国、イスラエルに次いで下から3番目だ。しかし「競争相手」となると、1位中国で次点が日本、3位がロシア、インド、メキシコと続く。

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世界でアメリカの利益を守るために常に軍事力を使える状態にすべきと考える人は39%で党派別にみると共和党系は58%が「そうすべき」と回答し、無所属は33%。民主党系は23%しか「そうすべき」と回答していない。「軍事力の行使よりも経済と外交努力をすべき」と考える人は共和党系が56%なのに対して、民主党系は72%と圧倒的に多い。

総合してみると、このアメリカ先端研究所のリポートが、バイデンの外交政策に大きな影響を与えているのは一目瞭然だ。

日本の外交政策は大転換を余儀なくされる

中国がアメリカを超えて覇権を握ろうとしていることを民主党の支持者は認識しており、バイデンもオバマ時代とは異なることを認めている。だが、バイデンの外交政策の中心はヨーロッパであり、中国に対しては関係を深め、アメリカ型民主主義を浸透させることで新たな関係構築が可能だというポスト冷戦時代の考えだ。中国がまだ経済成長を遂げる以前の楽観主義である。

ポスト冷戦時代の民主党政権は徹底して対中投資を増やした。中国の市場を重視すぎるあまり、「ジャパン・パッシング」が進んだ。バイデン政権が誕生するようならば、その時代に戻る可能性もある。雇用重視の姿勢はトランプと同じであるが、対中関係の構築には楽観的であるため、日本の領土問題にコミットしない可能性を想定しておくべきだろう。

共和党系と異なり、民主党系の北朝鮮に対する関心は薄いため、アメリカの協力を得ての拉致交渉も望めないだろう。バイデン政権が誕生すれば、日本の外交政策は大転換を余儀なくされると考えられる。

ただし、バイデン政権にはオバマ政権を支えた知日派の専門家も多く起用されると考えられるため、政府高官レベルでの連携は取りやすくなるという利点はある。