「なぜそう思うのか?」根拠をはっきり示す

では、とにかく数字を挙げておけばいいのか。実はそれだけでもまだ不十分です。当然ながら、そこには「なぜその数字にするのか」という根拠が必要です。なぜそうする必要があるのか、みんなが納得できる根拠を示せれば、より社員も動きやすくなります。

小宮一慶『できる社長は、「これ」しかやらない 伸びる会社をつくる「リーダーの条件」』(PHP研究所)

例えば、「ある商品の原価を5%下げたい。なぜなら、それが達成できると、ライバルの○○社より、高品質の商品を低価格で提供でき、お客さまにこれまで以上に喜んでいただけるQPS(クオリティ・プライス・サービス)を提供できるからだ」と言われたら、どうでしょうか。こういう話だったら、社員の納得度、モチベーションも上がります。

そういう具体性がないまま、ただ「原価を下げろ」と言うのでは、やる気が出ません。根拠がはっきりしていないと、数字だけが一人歩きし、空回りしてしまいます。せっかく数字で表現しても、それでは逆効果です。経営者に対する信頼感が失墜してしまう可能性もあります。

数字は明確な根拠とセットで、意味を持つものなのです。数字に強く、その根拠を論理的に説明でき、そのために何をしたらいいかを具体的に話せるリーダーが、人がついてくるリーダーなのです。

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