北朝鮮との関係はどうなるか

北朝鮮とは、トランプは金正恩との直接対話をしましたが、バイデンは下準備なしにいきなり会談することはしないでしょう。ロシアとはトランプはこれまで前回選挙での支援疑惑があって接近できませんでしたが、再選以降は自由度が増すでしょう。

中国とは、もともとバイデンは近いと言われますが、人権問題について民主党は共和党より敏感ですし、産業の覇権争いで甘いとも思えません。ただ、アメリカが独走するのでなく、同盟国と協調することを好むとみられます。

また、入国管理で中国人のビジネスマンを入れないとか、留学生や研究者を閉め出すのは、大学関係者やIT企業とのつながりが強いだけに緩和するでしょう。ただ、中国への警戒感は理由のあることですし、オバマ政権の第1期は中国に甘かったのですが、習近平の「強国路線」が正体を現してからは方向転換が始まっていたので元には戻りません。

南シナ海や尖閣について、トランプほど強硬かどうかは不明で、弱腰に乗じられないか心配です。それに限らず、日本にとっては、細部はともかく、トランプが中国の勝手にさせないという強い立場を明確にしていたことは好都合でした。

「減税のトランプ」と「増税のバイデン」

トランプ大統領は、減税と規制緩和で株高と雇用環境を実現しましたが、新型コロナウイルスの影響で悪化しています。経済活動の再開は、トランプのほうが積極的です。トランプは、公共事業や中間層の減税など財政出動を掲げ、バイデンは富裕層や企業に増税することになると思いますが、それで事足りるか疑問です。GAFAに規制や課税を強めることは両者とも共通ですが、バイデンのほうが国際協調のもとで進める方向性をもっているので、それはヨーロッパや日本にとって歓迎すべきでしょう。

トランプはTPPに参加しませんでしたが、バイデンは条件を見直した上で復帰するかもしれません。しかし、民主党は伝統的に保護主義的な貿易政策ですから安心できません。

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トランプは、医療保険についてのオバマケアの撤廃を試みましたが小規模の修正にとどまりました。バイデンはその維持と高齢者向けメディケアの加入年齢引き下げなど公的保険の拡充を目指していますが、負担が大きく実現性は疑問です。

トランプは、「パリ協定」からの離脱を国連に通告しましたが、バイデンは復帰するとしています。また、再生可能エネルギーへのシフトを主張していますが、経済的負担が伴い簡単ではありません。原子力については、技術開発の推進をどちらも主張しています。