これらの新しい会社はどれもみな雇用、すなわち社会の活力源を生み出します。有意義な仕事に就いているとき、人はただ単に生きるのではなく、自分自身の目標を持つことができます。子どもを教育したり、旅行したり、慈善事業に寄付したりすることができます。夢を持つことができるのです。

雇用創出に加えて、勝利している企業およびその社員は税金を納め、学校、病院、裁判所など、無数のプログラムを金銭的に支えます。

これのどこが「破壊」なのでしょう。

とはいえ、ビジネスの世界にあなたがおっしゃったように利益のために魂を売る人間がいるのは確かです。それは今に始まったことではありませんし、残念なことですが、企業のウソやごまかしや不正の事例によって、いつも思い知らされることです。これから先も、ろくでもない人たちがいなくなることはないでしょう。これはビジネスの世界にかぎった話ではなく、宗教界から政界まで、あらゆる分野に言えることです。

しかし私たちは、ビジネスに携わっている人の大多数が、他の分野の人々と同様、善良な人だと確信しています。彼らは、正々堂々と、公正に、ルールを守って勝利したいと思っています。会社を興したり、その手助けをしたりしたいと思っています。来る日も来る日も新しいアイデアを見つけたいと思っています。新しい技術や新しいやり方を生み出したいと思っています。新しい未来を……自分自身や家族にとって、また友人や同僚にとってよりよい未来を築きたいと思っています。

後世の歴史家は、こうした人たちのことを振り返って、彼らが勝利することによって世界を破壊したと言うでしょうか。それとも、彼らは世界をよりよい場所にしたと言うでしょうか。

(回答者ジャック&スージー・ウェルチ 翻訳=ディプロマット (c)2006. Jack and Suzy Welch Distributed by New York Times Syndicate.)