会議が大荒れだった小泉政権

安倍政権での改革は、明らかにスタイルが違った。実は2013年に「国家戦略特区」の制度を設けた際、経済財政諮問会議にならって「国家戦略特区諮問会議」を設けた。私は制度設計段階でこれを発案した一人だが、この会議で丁々発止の議論が戦わされ、最後は安倍首相が決断する場面を期待していた。

しかし、実際の国家戦略特区諮問会議では、そんなことは一度も起きなかった。特区諮問会議は一度として荒れなかった。

各省庁との折衝は特区ワーキンググループ(民間委員と各省庁の折衝)で事前に済まされ、特区諮問会議は、その結果に基づきシナリオどおりに運営された。大臣らが順番に予定された発言をしていく、政府の会議の標準スタイルだ。

もちろん、特区諮問会議で大臣に説明を求めるだけで、事前の各省庁との調整は進みやすくなる。それで相当程度の規制改革が実現できた。しかし、それでは済まないレベルの本当の難題はなかなか解決に至らなかった。

「自分の意向は入らない」安倍首相の正直な答え

政権後半になると、マスコミ・国会でモリカケ騒動が起きる。「官邸主導」で不正な利益誘導がなされているなどと“疑惑追及”がなされることになった。

私はこれら事案での政府の対応をすべて擁護するつもりは毛頭ないが、少なくとも、国家戦略特区で当事者として関わった加計問題(獣医学部新設)に関して言えば、あの問題は本来はとっくに決着済みだった「意味のない規制で半世紀以上認可されてこなかった獣医学部の新設を認可する」という長年の懸案解決にすぎなかった。

首相の友人関係など、全く関係ない話だった(こう書くと「新設を1校限定で許可したのは、加計学園と安倍首相の特別な関係があるからだ」などという反論が出てくるのだが、そのあたりの詳しい経緯は拙著『岩盤規制 誰が成長を阻むのか』に書いてあるので、ご興味のある方はそちらを参照していただきたい)。

当時の国会論戦で、安倍首相は「国家戦略特区での検討は特区ワーキンググループで民間委員が行っていて、自分の意向は入らない」と答弁したことがある。この答弁を聞いて、私は正直なところ「変な答弁だな」と思った。

国家戦略特区は本来、首相主導で岩盤に穴を開けるための制度で、「首相の意向は入らない」仕組みではない。だが、現実の運用はたしかにそのとおりだったし、安倍首相は自らの認識を正直に答えたのだろう。