子どもが「授業を受ける様子」を見てしまった親たち
これまで大手進学塾は保護者に授業体験をさせないところが多かった。「うちの塾に入れたければ、私たちに任せておけ」とばかりに強気な姿勢を見せていた。ところが、オンライン授業を見てみると、たいしたことはない。教科によってはたった10分で説明を終えてしまうこともあった。また、解説ばかりで退屈に感じた親も多かったようだ。実際、子どももつまらなそうに見ていたという。「こんな授業に高額な授業料を払っていたかと思うと、頭に来ます」という声も聞いた。
オンライン授業を受けているわが子を見て、授業の中身をまったく理解できていないことに気づく親。「この説明では、理解は無理!」「こんなつまらない授業を受ける意味はない」と塾に不信感を抱き、1対1で丁寧に教えてくれる家庭教師の方がいいのではないかと家庭教師を選ぶ家庭が出てきたのだ。
こう聞くと、うちも家庭教師に切り替えようかと考える親もいるだろう。だが、ひとくちに家庭教師といっても、教師の質はピンキリ。しかも、オンラインに精通した家庭教師となると数は少ない。
では、良いオンライン家庭教師の見極め方はあるのだろうか?
小学生が集中できる時間はとても短い
まず大前提として、中学受験の勉強を教えられる学力は不可欠だ。そういう点では、中学受験を経験したことがある大学生でもできなくはない。でも、子ども一人一人に合わせて説明の仕方を変えることは難しいだろう。そして、高校受験や大学受験の指導と大きく違うところは、相手がまだ精神的に幼い小学生であることだ。
あまり勉強に乗り気ではない子どものモチベーションをどのように上げていくか、集中力が続かない子どもをどう楽しませるかといった、子どもの気持ちを持っていくスキルは実はとても大事な要素だ。それを大学生ができるかというと、ちょっと難しいと思う。良い家庭教師とは、勉強の指導力はもちろんのこと、子どものタイプに応じた接し方ができる人間力も問われる。
オンライン授業にZoomがよく使われている。Zoomにはホワイトボード機能があり、対面授業で黒板に書いて説明をするのと同じように、ホワイトボード機能を活用することができる。
しかし、私は小学生の指導にこのホワイトボード機能は向かないと感じている。同じ教えるにしても高校生や大学生であれば、説明だけでも授業は成立する。だが、小学生は人の表情がまったく見えない中で学習することは難しい。また、一方的な授業ではついて来られない。
オンラインであっても、小学生の子どもに勉強を教えるときは、相手がすぐそばにいることを感じられることが大事だ。子どもは人の気配がないところで勉強ができない。そのため、私はホワイトボード機能を極力使わないようにしている。