同じ問題を繰り返しやって、答えを暗記させよう
しかし、薄くて繰り返し学習がしやすいと言われても、同じ問題を何度も解いて意味があるのかと疑問に思う方もいるかもしれない。さまざまな問題にトライしてこそ、実力がついていくのではないだろうかと。
だが、陰山さんは「同じ問題を繰り返しやって、答えを暗記するくらいでいい」と断言する。
「九九は暗記ですが、暗記することで割り算ができるようになり、分数、小数の計算もできるようになります。教師の中にも『暗記はいけない、考えさせたほうがいい』という人がいますが、暗記と思考はコインの裏表の関係。覚えられないと思考できないし、思考できないと覚えられません。答えを暗記するくらい基礎問題を習熟すると、応用力は自然とついていくのです」(陰山さん)
だから、子供が問題を解けずに悩んでいたら、すぐに答えを教えてしまうと陰山さん。
「ダラダラと解かせていると、『できない』という意識が定着してしまいます。答えを教えて、また同じ問題を解かせると、次は解けるようになります。そうやって『できる』を積み重ねていくと、自信がついて、自分から勉強するようになっていきます。低学年のうちは暗記力が高いので、暗記する学習をどんどんさせましょう」
“安心しっこ競争”をしよう
新型コロナウイルス感染症の影響で、学校現場が振り回される状況はしばらく続きそうだ。このような時こそ、「親はどっしり構えていてほしい」と陰山さんは言う。
「親が不安に思っていると、子供は親の2倍不安になります。そんな状態では勉強が手につかなくなってしまいます。逆に親が大丈夫だとおおらかにかまえていれば、子供も安心して勉強に集中できるでしょう。だから、お母さんお父さんには、“安心しっこ競争”をしてほしい。一番安心できた人が勝ちという競争です。安心できた人から、お子さんは優秀になるので、ぜひ、やってみてください」