2015年に配布「通知カード」は新規発行を廃止

コロナ禍を機にマイナンバーカード取得を決めた方々向けに、今さらながら申請の仕方や使い道など、基本的な事柄を整理しておこう。

1人に1つずつ、12桁のマイナンバーを管理する主役は、顔写真付き・ICチップ内蔵のプラスチック製「マイナンバーカード」。身分証の代わりになり、①オンラインの確定申告、②マイナポータルを通じた子育て関連の手続き、③コンビニなどでの住民票の取得、④バイト・就職の際のマイナンバー提示などが、これまでは必要だったさまざまな書類を用意することなく簡単に行える。

このマイナンバーカードを取得するには、2015年10月に各世帯に簡易郵便で届けられた縦長の紙製「通知カード」をもとに各自治体に申請すればよかった。が、5月25日以降は「通知カード」の新規発行が廃止され、「個人番号通知書」がそれに取って代わっている。出生などで住民票を登録すれば、2~3週間後に自動的に簡易書留で送られてくる。

ただ、旧「通知カード」は、住所の変更がない限り引き続き申請に使うことができる。紛失した場合の再発行は、自宅で無くしたのなら市区町村の窓口に紛失届を出せばいいが、自宅以外ならおおごとになりかねない。最寄りの警察署・交番に遺失の届け出をするべきだろう。

「通知カード」も「個人番号通知書」も身分証明書にはならない

ちなみに、「マイナンバーカード」を取得せずに「通知カード」か「個人番号通知書」を持っていても、それじたいを身分証明書として使うことはできないし、他にもできることは限られる。当然だが注意が必要だ。前述の「マイナンバーカード」の機能①②③④についていえば、「通知カード」が本人確認のための運転免許証などを添えれば④が可能だが、①~③については使えない。「個人番号通知書」は、①~④すべてで使うことはできない。

マイナンバー制度導入の目的は「行政運営の効率化」「国民の利便性の向上」そして「公正な給付と負担の確保」の3つということになっている。しかし、気になるのはやはり3つ目だ。今回のような定額給付金の給付を迅速に進めるためには、マイナンバーと各自の銀行口座とのひも付けが必然となる。

しかし、現在のところマイナンバーと個々人の銀行口座との紐づけに強制力はなく、任意のままだ。非難轟々だった給付金の遅れという教訓から、マイナンバーカード取得者が激増するかと思いきや、前述の通り数%増にとどまっており、急ピッチで増える様子は今のところなさそうである。