「認めてほしい」という欲求が非常に強い

今の若手はほめて育てるという教育思想が急速に日本中に広まる中で育った世代です。それに加えて、わが子が叱られたり厳しい目にあったりすると学校にすぐにクレームをつけるモンスターペアレントも登場し、学校の先生も生徒を叱りにくい時代に学校生活を送ってきました。

たえずほめられ、承認欲求が満たされてきたため、承認欲求が満たされないとやる気になれないといった感受性の人が多くなっています。さらには、叱られることがほとんどなかったため、叱責されたり、注意されたりすることに耐えられない感受性をもっている人が少なくありません。

上司など年配者は、子ども時代に家庭でも学校でもしょっちゅう叱られ、厳しいことを言われて育ったため、就職してから上司や先輩から厳しく叱られたりしても、心の抵抗力があるので、心が折れるようなこともなく、ときにその理不尽さに「何くそ!」と反発しながらも、「絶対に認めさせてやる!」と息巻いて頑張ることができました。

でも、今の若手は、そのように叱責を糧にして頑張るよりも、反発したり、やる気をなくしたりしてしまいやすいのです。

そのため、上司の側からすれば、本人のためを思って口にした注意の言葉であっても、それを冷静に受けとめる心理状態になく、被害者意識さえもってしまうことがあるわけです。

注意されるということは、自分のやり方を認めてもらえなかったことになるので、機嫌が悪くなり、やる気をなくすわけです。「ダメ出しばかりでやる気なくなる」とか「あれはパワハラじゃないですか」といった不満を口にする人たちの心の中には、満たされない承認欲求が渦巻いていると思ってよいでしょう。

「これじゃダメ」ではなく「こうしたらどうか」

このように育った世代は、「ダメ出し」に耐えられる感受性はあまり持ち合わせていないため、「何くそ!」と反発し、「ちゃんとできるようになって見返してやる」と勢いづくようなことにはなりにくいのです。モチベーションにつながる反発ではなく、「せっかく頑張ったのに、ダメ出しかよ。もうやる気なくした」といった感じの反発になりがちです。

だからこそ、厳しく育てられた世代には想像できないくらいの傷つきやすさを抱えているということを念頭に置いて指導する必要があるのです。

今どきの若手のもうひとつの特徴として、マニュアル世代ということがあります。学生時代にアルバイト経験が豊富といっても、今の時代は極力人によって仕事にムラが生じないように、多くの仕事がマニュアル化されています。そのため、自分で頭を悩ませ、工夫をして、自発的に仕事力を高めるという経験が乏しいということがあります。ゆえに、「ダメ出し」されても、「じゃあ、どうすればいいんだ?」と戸惑ってしまいます。

したがって、いきなりの「ダメ出し」は禁物です。傷つけないためにも、見放された気にさせないためにも、「これじゃダメだ」「そんな対応で通じるわけないだろう」というような言い方ではなく、「ここをもうちょっと工夫できないか?」「もう少し丁寧に対応するようにしたら、与える印象もずいぶん違ってくるんじゃないかな」などというように、改善の方向性を示唆する言い方をすると、注意の言葉も染み込みやすくなるでしょう。