「解散の大義がない」という批判をかわし、野党結集を封じる
消費税減税には、もうひとつの大きな政治的意味合いがある。今、立憲民主党など、主要野党は次の衆院選に向け「消費税減税」を旗頭に結集を図ろうとしている。その前に安倍政権が消費税減税を打ち出したらどうなるか。野党側は結集軸を失ってしまう。
7月7日配信の「『安倍1強は終わらせない』自民党が今秋の解散・総選挙を急ぐワケ」でも紹介した通り、安倍氏は今秋の衆院解散・総選挙を有力な選択肢と考えている。その際の争点として「消費税減税」を打ち出せば、国民に分かりやすい争点を示すことができる。そして、歓迎される可能性も高い。
「解散の大義がない」という批判をかわしたうえで、野党結集を封じる。政治判断としては一石二鳥にも三鳥にもなるのだ。
そのことは、野党側も察知している。国民民主党の玉木雄一郎代表は8日の記者会見で「安倍氏が減税を争点に衆院解散することもあり得る。野党が先に打ち出さないと、とても戦えない」と危機感をあらわにした。しかし、今の野党は、危機感を持っていても、安倍氏よりも先に消費税減税を打ち出して結集するという瞬発力は持ち合わせていない。
安倍氏は2014年の衆院選では消費税増税の先送りを打ち出して圧勝した成功体験がある。今度は、増税先送りではなく減税を決断して「二匹目のドジョウ」を狙うのだろうか。