これらの口臭は各臓器から血液を介し、肺から呼気として排出されます。口臭はその人の飲食生活習慣、精神的肉体的コンディションなどすべてが反映されるのです。つまり、口臭は「心身の発するSOS」と言えるのです。自分の口臭を知ることで、ストレスや肉体的負荷をコントロールするきっかけにもつながるのです。
また、生理的口臭は自覚しやすいですが、病的口臭は自覚できないことがあります。その結果、自覚する生理的口臭に悩まされたり、自覚ができない病的口臭のある人は、他人に指摘を受けるまで周囲の人に迷惑をかけ続けるというような問題を引き起こします。
誰も指摘してくれない「口が臭い」という現状
そして、口臭はスメルハラスメントの原因ともなりえます。会社などで口臭を問題にしようとしても、臭いを指摘することはその人の尊厳に関わるために対応しづらい面もあります。様々なハラスメントの中でも、最も厄介なハラスメントが「スメハラ」で、2社に1社の割合でスメハラがあるという調査報告もあります。
しかし、当の本人は周囲に迷惑をかけているという自覚がないため、実は誰もが無意識のうちに加害者となりうる危険性を孕んでいるのです。
口臭のことを本人に指摘しづらいために、陰で同僚同士や友人同士が、対象となる人のことを愚痴ることが少なくありません。「加害者」はやがてグループの中で避けられ、やがて差別され、中傷されるという「逆スメハラ」も起こりえます。
その一方で、自らの口臭を気にしすぎるあまり、人と会話することが苦痛となってしまい、他者と関わることをしなくなり、ますます他者から嫌われるという悪循環に陥ってしまう人も見受けられます。
しばしば中高生が口臭を原因としていじめの対象や不登校になり、その後の人生を棒に振ったという事例は少なくありません。
その子たちに共通して言えることは、「周囲に迷惑をかけてはいけない」という思いやりの気持ちが強いことです。その気持ちが周囲に理解されないまま、集団において異質な空気感を持つ人間として悪目立ちをしてしまい、排除されるターゲットとなってしまうのです。
口臭があるということは身体、精神に問題があるというだけでなく、周囲に迷惑をかけたり、社会的環境のQOLの低下につながったり、その人の社会的尊厳を損ねるリスクがあります。口臭が気になれば放置せず、口臭の原因となっているものを根本的に解決することが大切です。
もし口臭を原因にした悩みがあるのなら、ひとりで抱え込まず、口臭専門のクリニックに相談してください。