女に頼る男と、男に頼らない女

男性の懐事情も無視できません。賃金はなかなか伸びず、多くのシングルは収入をなんとかやりくりしている状況です。共働きしない女性と結婚すれば、趣味のお金すら捻出できそうもない。ならば、きちんと稼げる女性を選ぼうという発想になるのもうなずけます。新型コロナウイルスの影響で経済が停滞すれば、この傾向は強まるでしょう。

一方で、女性が結婚相手に求める条件もハイスペック化しており、「経済力」「容姿」「家事・育児の能力」を求める人はいずれも増えています。要因として挙げられるのは、男女間の賃金格差が縮小していることです(図②)。

これまで未婚女性は経済的に不利な立場にいました。だから結婚相手に求める条件として容姿より経済力を重視していました。しかし、賃金格差が縮小して自立できるようになれば話が変わります。いままで妥協してきた容姿も求めるようになったし、家事や育児も求めます。男性と同じようにシングルライフが充実してくれば、経済力も含めてハードルを上げるのは当然です。

注意したいのは、ハードルを上げているからといって、女性の結婚願望が減退したわけではない点です。同調査で女性に「理想のライフコース」を尋ねたところ、「非婚就業コース(結婚せずに仕事を一生続ける)」を理想としている人は5.8%にすぎませんでした(図③)。仕事を続けるかどうかは別にして、圧倒的多数はいつか結婚することが理想の人生だととらえています。

ただ、理想と現実のあいだにはギャップがあります。理想ではなく実現しそうな「予定のライフコース」を尋ねたところ、非婚就業コースを選んだ女性が21.0%いました。ハイスペック男性との結婚を理想としつつ、そのような男性はそう簡単に見つからない。1人で生きていくことを織り込んでいる女性は少なくなく、今後さらに増えるのではないでしょうか。