金欠のイクメン現代の夫像
さて、結婚相手に求める条件として、「家事・育児の能力」を重視する女性が増えていることはすでに指摘しました。では、実際にイクメンはどれくらい増えているのでしょうか。
ここ数年で、男性の育休取得率は急激に上がっています。16年度に3%台を突破(図④)。17年度は5.14%、18年度は6.16%です。
ノルウェーの育休改革を分析した研究で、育休は伝染することがわかっています。実はノルウェーでもかつては男性が育休を取るのは勇気がいることでした。育休を取ることで周囲から冷たい目で見られないか不安だったのです。しかし、制度改革後に一部のお父さんが育休を取り始めると、それでも不利に扱われないことがわかって次々と育休取得が広がりました。育休を取った男性が同僚あるいは兄弟にいた場合、そうでない場合と比べて育休取得率が11~15ポイント高かったのです。
ここ2年で日本の男性の育休取得率が急上昇した理由は複合的です。ただ、何が理由であるにしろ、伝染していく最初の一歩はすでに踏み出されたと考えていい。このまま順調に広がり、10年後には育休取得率が30%を突破していたとしても驚きません。
社会の動きやデータを見ても、ここから育休取得率が上昇することはあっても、下がる要因は見当たりません。たとえば日本生産性本部が17年に実施したアンケートでは、男性新入社員の約8割が育休を取得したいと回答しています。その世代は10年後、30代前半になります。彼らの少なくとも一部は実際に育休を取ったり、上司としてさらに若い世代の育休に理解を示したりするはずです。
育休取得率に育休を取得した期間は反映されていませんが、今後は期間も長期化するのではないでしょうか。2020年4月から男性国家公務員に1カ月以上の育休取得を促す制度が始まりました。また、育児休業給付金の支払率も、現在の67%から80%に引き上げられると見込まれています。育休を取得しても手取りが大きく減らないなら、フルで取得したほうが得だという空気に変わっていく可能性が高いでしょう。
男性の経済力は、新型コロナの影響で今後も期待できないでしょう。しかし、イクメン度に関しては、条件を満たす相手が着実に増えそうです。