“吉村推し”のヘビーローテーションが発生
民放テレビ関係者の1人は「そもそも『維新系』といわれる出演者、コメンテーターはテレビに多い。もちろん、『政治スタンスとは別』ということで出演しているが、吉村氏や維新をそうした人たちが批判することはほとんどない」と明かす。政治的中立や公平性という観点から各党の幹事長や政策責任者が並ぶ討論番組とは異なり、「コロナ対応」という番組構成ならば吉村氏が出演しても、「それに批判的な出演者、政党関係者を共演させる必要はない」(別のテレビ関係者)という背景もあるようだ。
元々、維新創業者で元大阪府知事の橋下徹氏や元維新衆院議員の東国原英夫氏、大阪府知事選へのラブコールを受けていたキャスターの辛坊治郎氏など、維新と「縁」のある人物の露出度は高く、「吉村氏が発言すれば橋下氏や東国原氏、辛坊氏らがコメントして、それがニュースになり、SNSでも取り上げられている」(ニュースサイト編集者)。こうした他党にとっては「ヘビーローテーション」といえる状態が続くことは、存在感の違いを浮き上がらせることにつながっている。
立民を支持率でついに上回る。かつての近鉄「いてまえ打線」のよう
「吉村バブル」による恩恵は、政界ではあまり目立たない国政政党「維新」にも広がる。共同通信が5月8~10日に実施した世論調査によると、日本維新の会の政党支持率は8.7%で、野党第1党の立憲民主党(6.9%)を上回り、他の世論調査も同様の傾向が見られている。この勢いは、かつての大阪近鉄バファローズの「いてまえ打線」を彷彿とさせるもので、「安倍政権が終われば、いよいよ維新政権誕生」を期待する支持者もいる。大阪だけでなく、東京でも維新の松本光博杉並区議が同区の祭りをめぐり、商店街が東京都の補助金を不正受給していたことを問題視。領収書偽造や協賛金の未計上が発覚し、東京都は杉並区(田中良区長)に補助金の全額返還を求めたが、松本氏は田中区長などの説明責任を追及するなど注目を集めている。
沸きあがる「空中戦」に危機感を募らせるのは、他の野党だけでなく自民党も同じだ。元大阪府知事で自民党参院議員の太田房江氏は4月14日、ツイッターに「維新に疑問を持つ府民の方々からリプライが増えてきたことに変化を感じます」と投稿。4月25日には、松井一郎大阪市長(維新代表)が記者会見で「(女性はスーパーで)商品を見ながらあれがいいとか時間がかかる。男は言われた物をパパっと買って帰れるから」と語った一言に、「男性とか女性とか分断するようなコメントはどうなの?」とかみついた。