後手後手な安倍に比べ、都道府県知事の動向に国民の関心は高い
毎日新聞と社会調査研究センターが5月6日に実施した全国世論調査で、吉村氏は「最も評価している政治家」のトップとなった。防衛相や自民党総務会長などを歴任して知名度が高く、コロナ対応で国を牽引する東京都の小池百合子知事(2位)と並び、その存在は際立っている。日経新聞の調査結果でも1位が吉村氏、2位は小池氏だった。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は12日の記者会見で「前線で戦っている吉村知事がいることが評価につながっているのだろう」と語ったが、別の野党衆院議員は「後手後手な安倍晋三政権の対応に比べ、より現場に近い都道府県知事の動向に国民の関心は高い。でも、ここまで露骨に特定政党の、特定の政治家ばかりを英雄視するのはやりすぎではないか」と批判する。実際、吉村氏に対するメディアの持ち上げ方は異例で、ワイドショーでは連日のように出演者が賛美する「かの国を思わせるような『吉村マンセー』状態」(自民党中堅議員)が続いている。
あの田崎氏も吉村氏を褒めた!
専門外のことにも「無検証」のまま出演者がコメントするワイドショーの手法には、かねてから疑問の声があがっていたが、コロナ対応では安倍政権を批判する意見が相次ぐ一方で、吉村氏には美辞麗句のオンパレードが目立っている。「吉村知事の明快な発信力は、問題意識を共有しやすい。府民のやる気につながっている」(MCの坂上忍氏、12日のフジテレビ系「バイキング」)、「吉村氏と政府の違いは圧倒的にスピード感だと思う。決定的に違う」(キャスターの安藤優子氏、5月12日のフジテレビ系「直撃LIVE グッデイ!」)、「強いリーダーというと吉村知事なんかは民の声に耳を傾けて、と見える」(MCの石井亮次氏、4月30日のTBS・CBC系「ゴゴスマ GOGO!Smile!」)……。
安倍政権と「ツーカー」の関係ともいわれる政治評論家の田崎史郎氏は、かつて「吉村知事、発言のブレがちょっと激しすぎる」と吉村氏を厳しく批判していたが、最近では「説明が非常に分かりやすい。そこが強みで、いずれ国政に出て来られたらと思う」とすり寄る姿勢も見せている。