インド人はなぜ自信を持っているのか
【ロバートソン】中国の覇権に危機感を持つ日本人は多いと思いますが、もしかしたらインドのほうがその意識は強いかもしれないですよ。インドは、コールセンターのようなアウトソース業務を世界中の企業から引き受けていますし、アマゾンもハイデラバードに南アジア最大の拠点を開こうとしています。ITの主軸はこれから南アジアに移る可能性があるし、自国の探査機を低コストで火星に到達させています。だから自信を持っているんですよ。
【三宅】日本人は何か自信がないですよね。
【ロバートソン】従来の日本式ルールが機能しなくなったからだと思うのですが、英語の自信まで失うのはもったいない。「さつま揚げを持って種子島から火星に行くぞ!」くらいのノリで、「日本語なまりの英語でなにが悪い!」という感覚の人が増えるといいですね。
【三宅】そこがなかなか難しい。
【ロバートソン】だからなおさら「英語に対する自信」で萎縮する必要はないのです。ダメもとで英語を話すようにすれば反復するうちに話せるようになり、「英語の自信」はついてきます。するともっと積極的に発信するようになり、「文化的な自信」もついてくる。そうした相乗効果が起きると思います。もちろん発信力があることが前提ですが。
英語で伸び悩む子供にはヒップホップを
【三宅】どうしたら英語での発信力を鍛えられると思いますか?
【ロバートソン】日本人はやはり潔癖主義をやめることだと思います。たとえば、子供のピアノのコンクールでも、いかに楽譜どおりに完璧に弾けたか、ミストーンがなかったかといったことが採点対象になっていると感じます。でも、アートとはそういうものではありません。ミストーンしてもいいから、いかに人を感動させたかが大切なはずで、表現者としての技量があってプロになれるわけですから。
英語教育の問題の本質もそこにあると思います。つまり、学校の英語の先生は文法のプロだけれども表現者ではないのです。すると純化が起きて、文法ばかり完璧にしようとする生徒が量産されるわけですね。
【三宅】イーオンキッズでも文法教育をやりつつ、まちがっても良いから人前で堂々と発表しようというプレゼンテーションのプログラムをはじめました。
【ロバートソン】とてもいいことだと思います。ひとつ過激な提案をするなら、子供たちにヒップホップをやらせるのが面白いと思います。ヒップホップで使う英語はスラングだらけですが、非常に元気が良い。だから頭に入りやすい。
もちろんリスクはありますけど、英語で伸び悩む子供がヒップホップを習ったら急に流暢になるということもあります。子供の才能の伸ばし方は一人ひとり違うので、そういう荒療治もあるという話です。
【三宅】面白いですね。自分の壁を取り払うきっかけになるかもしれません。
【ロバートソン】実はヒップポップのダンス大会では、日本人が上位に入るようになっています。技術点が高くて2位、3位に入るパターンが多かったのですが、最近は表現力も増してきて、1位も出るようになりました。